~ストーリー~
元刑事の藤岡は、
離婚した元妻から失踪した娘・加奈子の捜索を依頼される。
時を同じくして発生したコンビニでの殺人事件と、
加奈子に恋心を抱く同級生が残した手記。
3つの事象がひとつに重なりあった時、
加奈子が隠し持っていた裏の顔が明らかになり、
やがて暴力団や中国系マフィアをも巻き込む凄惨な事件の幕が開く…。
深町秋生が「このミス」を受賞したハードボイルド小説。
役所広司主演で今夏映画化。
ひたすら救いようのない話であり、
どの登場人物とてまともな人間が一人もいない。
扱われるテーマも、暴力・殺人・麻薬・いじめ・少年少女の売春など、とにかく重苦しい。
だが、徐々に白日の下に晒されていく驚愕の真実の連鎖や、
一見関係がなさそうな同級生の手記と一連の事件の関係性が明らかにされていくにつれて、
読者をぐいぐいとその世界観に引き込むパワーを持った小説でもある。
思わず読むことを躊躇ってしまいそうなほどグロいシーンも満載のため、万人にお勧めはしない。
だが、決して面白くない小説であるという事はなく、
むしろ体調を万全にして本書を手に取ることをお勧めします。
2014年6月3日火曜日
2014年6月1日日曜日
映画:『さんかく』
〜ストーリー〜
百瀬と佳代が同棲している部屋に佳代の中学生の妹・桃が夏休みを利用してやって来る。
佳代と倦怠期にあった百瀬は天真爛漫な振る舞いをする桃に恋心を抱いてしまう。
桃が田舎に帰ってからも連絡を取ろうとする百瀬。
だが、彼の微妙な心境の変化に気付いた佳代はいらぬ喧嘩を百瀬に仕掛けてしまい、ふたりは破局することになる。
取り返しのつかないことになり慌てた佳代は、何とか百瀬の気持ちを取り返そうとするが・・・。
高岡蒼甫・田畑智子・小野恵令奈共演の恋愛映画。
アラサーのバカ男代表・百瀬。
同じくアラサーのイタ女代表・佳代。
思春期の無邪気な悪意の権化・桃。
その他、人のいい佳代をマルチに引き込もうとする女友だちや、
アホで生意気で先輩ヅラを吹かせることだけ一流の百瀬にうっかりため口を聞いちゃう後輩など、
登場するキャラクターほぼ全員に妙なリアリティや「あるある」が詰め込まれている。
それ故に、彼らの織り成す人間模様をはじめは滑稽に感じることもあるのだが、
次第に笑えなくなり痛々しさすら感じるようになってくる。
サスペンスばりに伏線が張られたストーリーで、
それがキャラクターに説得力を持たせ物語をより真に迫ったものにしている。
百瀬と佳代が同棲している部屋に佳代の中学生の妹・桃が夏休みを利用してやって来る。
佳代と倦怠期にあった百瀬は天真爛漫な振る舞いをする桃に恋心を抱いてしまう。
桃が田舎に帰ってからも連絡を取ろうとする百瀬。
だが、彼の微妙な心境の変化に気付いた佳代はいらぬ喧嘩を百瀬に仕掛けてしまい、ふたりは破局することになる。
取り返しのつかないことになり慌てた佳代は、何とか百瀬の気持ちを取り返そうとするが・・・。
高岡蒼甫・田畑智子・小野恵令奈共演の恋愛映画。
アラサーのバカ男代表・百瀬。
同じくアラサーのイタ女代表・佳代。
思春期の無邪気な悪意の権化・桃。
その他、人のいい佳代をマルチに引き込もうとする女友だちや、
アホで生意気で先輩ヅラを吹かせることだけ一流の百瀬にうっかりため口を聞いちゃう後輩など、
登場するキャラクターほぼ全員に妙なリアリティや「あるある」が詰め込まれている。
それ故に、彼らの織り成す人間模様をはじめは滑稽に感じることもあるのだが、
次第に笑えなくなり痛々しさすら感じるようになってくる。
サスペンスばりに伏線が張られたストーリーで、
それがキャラクターに説得力を持たせ物語をより真に迫ったものにしている。
2014年5月27日火曜日
漫画:巴亮介『ミュージアム』
~ストーリー~
連続猟奇殺人事件が発生。
被害者は残忍な方法で殺害されており、
遺体の傍らには殺害方法に応じた刑罰の名前が記されたメモが残されていた。
事件を担当していた刑事の沢村は被害者の共通点に気付くが、
それは別居中の妻子の身に危険が迫っていることを意味していた。
だが、犯人の魔の手は既に愛する家族に及びつつあり…。
話題のサイコスリラーコミック。全3巻。
ストーリーを見てピンとくる人もいるかも知れないが、
○主人公が事件を担当する刑事。
○猟奇殺人とその方法に応じた刑罰が与えられている。
○主人公の家族にも身の危険が及ぶ。
など、プロットが映画『セブン』とほとんど同じ。
なので、面白いと言えば面白いのだが、
新鮮味に欠けると言えば欠ける。
ただ、ラストは一捻り入っているので、
もしかすると著者自身それを分かっていて、
ミスリードを導こうとしているのではないかという気がしなくもない。
2016.1.5追記
映画向きだなーと思っていたら、
小栗旬主演で映画化が決定したとのこと。
監督はるろうに剣心シリーズの大友啓史。
邦画にありがちなオリジナリティによる原作破壊は抑えて、
ぜひ原作を忠実に再現して欲しい(笑)
連続猟奇殺人事件が発生。
被害者は残忍な方法で殺害されており、
遺体の傍らには殺害方法に応じた刑罰の名前が記されたメモが残されていた。
事件を担当していた刑事の沢村は被害者の共通点に気付くが、
それは別居中の妻子の身に危険が迫っていることを意味していた。
だが、犯人の魔の手は既に愛する家族に及びつつあり…。
話題のサイコスリラーコミック。全3巻。
ストーリーを見てピンとくる人もいるかも知れないが、
○主人公が事件を担当する刑事。
○猟奇殺人とその方法に応じた刑罰が与えられている。
○主人公の家族にも身の危険が及ぶ。
など、プロットが映画『セブン』とほとんど同じ。
なので、面白いと言えば面白いのだが、
新鮮味に欠けると言えば欠ける。
ただ、ラストは一捻り入っているので、
もしかすると著者自身それを分かっていて、
ミスリードを導こうとしているのではないかという気がしなくもない。
2016.1.5追記
映画向きだなーと思っていたら、
小栗旬主演で映画化が決定したとのこと。
監督はるろうに剣心シリーズの大友啓史。
邦画にありがちなオリジナリティによる原作破壊は抑えて、
ぜひ原作を忠実に再現して欲しい(笑)
2014年5月23日金曜日
小説:小林泰三『百舌鳥魔先生のアトリエ』
~ストーリー~
『ショグゴス』
突如南極に現れた謎の不定形生物群。
大統領と科学者はロボットを使いそれを排除しようとするが…。
『首なし』
とある令嬢と頭の半分を失いながら生きた元使用人である夫。
とある疑念を抱いた息子は両親の馴れ初めを聞く。
『兆』
教師に殴られた女生徒・直美が学校を抜け出しとあるマンションから飛び降り、自殺した。
事件に疑惑を持ったフリーライター・なえ子は取材を開始する。
その頃、直美の同級生である欒花の前に直美の幻影が現れ、
人間を超越した「兆」という存在への昇華へいざなおうとしていた。
『朱雀の池』
戦時下のアメリカ。
軍から日本の文化財リストを作成するように言われたウォーナー博士は、
何故か自分が日本の京都に住む蘭蔵という男であるという夢を見る。
『密やかな趣味』
性的欲求を満たすためのアンドロイドを購入した「わたし」は、
届いたアンドロイドに様々な要求を押し付ける。
だが、それは徐々にエスカレートしていき…。
『試作品三号』
強大な力を持った妖怪達を兵器とするための研究施設が破壊された。
妖怪の中でも最強の力を持つという妖怪・試作品三号は、調査のためにやって来た鎧の男と対峙する。
『百舌鳥魔先生のアトリエ』
妻が習い事として始めた「芸術」は、
生物の身体を極限まで切り刻んだまま生体機能を維持させるという悪魔の所業だった。
ある日、失踪した妻を追って「わたし」はその「芸術」の講師である百舌鳥魔という男のアトリエに向かう。
奇抜な設定・グロ描写・ブラックユーモアと屁理屈を武器に、
主にホラー・SF・サスペンスの分野で活躍する作家・小林泰三の、
過去の作品を収録した短編集。
「クトゥルフ神話」をベースにしながらそれを逆手に取ってまさかのオチに持っていくSF作品『ショグゴス』、
読んでいるだけでこちらの身体か痛くなるかのような錯覚に陥るほどグロ描写満載の『密やかな趣味』『百舌鳥魔先生のアトリエ』、
現実と虚構を織り交ぜ読者を混乱させる『首なし』『朱雀の池』『兆』、
最強の妖怪とそれをも上回る力を持った鎧の男との戦いを描いた『試作品三号』など、
7作品とも著者のテイストがよく表れている。
『ショグゴス』
突如南極に現れた謎の不定形生物群。
大統領と科学者はロボットを使いそれを排除しようとするが…。
『首なし』
とある令嬢と頭の半分を失いながら生きた元使用人である夫。
とある疑念を抱いた息子は両親の馴れ初めを聞く。
『兆』
教師に殴られた女生徒・直美が学校を抜け出しとあるマンションから飛び降り、自殺した。
事件に疑惑を持ったフリーライター・なえ子は取材を開始する。
その頃、直美の同級生である欒花の前に直美の幻影が現れ、
人間を超越した「兆」という存在への昇華へいざなおうとしていた。
『朱雀の池』
戦時下のアメリカ。
軍から日本の文化財リストを作成するように言われたウォーナー博士は、
何故か自分が日本の京都に住む蘭蔵という男であるという夢を見る。
『密やかな趣味』
性的欲求を満たすためのアンドロイドを購入した「わたし」は、
届いたアンドロイドに様々な要求を押し付ける。
だが、それは徐々にエスカレートしていき…。
『試作品三号』
強大な力を持った妖怪達を兵器とするための研究施設が破壊された。
妖怪の中でも最強の力を持つという妖怪・試作品三号は、調査のためにやって来た鎧の男と対峙する。
『百舌鳥魔先生のアトリエ』
妻が習い事として始めた「芸術」は、
生物の身体を極限まで切り刻んだまま生体機能を維持させるという悪魔の所業だった。
ある日、失踪した妻を追って「わたし」はその「芸術」の講師である百舌鳥魔という男のアトリエに向かう。
奇抜な設定・グロ描写・ブラックユーモアと屁理屈を武器に、
主にホラー・SF・サスペンスの分野で活躍する作家・小林泰三の、
過去の作品を収録した短編集。
「クトゥルフ神話」をベースにしながらそれを逆手に取ってまさかのオチに持っていくSF作品『ショグゴス』、
読んでいるだけでこちらの身体か痛くなるかのような錯覚に陥るほどグロ描写満載の『密やかな趣味』『百舌鳥魔先生のアトリエ』、
現実と虚構を織り交ぜ読者を混乱させる『首なし』『朱雀の池』『兆』、
最強の妖怪とそれをも上回る力を持った鎧の男との戦いを描いた『試作品三号』など、
7作品とも著者のテイストがよく表れている。
2014年5月17日土曜日
小説:若竹七海『暗い越流』
~ストーリー~
『蝿男』
探偵の葉山は、
今は誰も住んでいない屋敷に母の遺骨を取りに行って欲しいという依頼を受け現場に赴くが、
そこで何者かの襲撃を受ける。
『暗い潮流』
5人を殺害、23人を負傷させた死刑囚・磯崎の元に山本優子という女性からファンレターが届く。
山本の正体を探るよう依頼を受けた雑誌編集者は調査を続ける内に、
山本優子が実在しかつて磯崎と近所付き合いをしていた事を知る。
『幸せな家』
失踪した女性雑誌編集者の捜索を依頼されたライターは、
彼女が周囲の人間を脅迫し金銭を得ていたのではないかという疑いを持つ。
だが、事態は思わぬ方向に進んでいく。
『狂酔』
とある教会で立て篭り事件が発生した。
犯人である男はその教会と自分の生い立ちとの関係について話し始める。
『道楽者の金庫』
探偵を休業し古本屋でアルバイトをしていた葉山は、
ひょんな事からとある資産家の金庫の番号が隠されていると思われるこけしを探すよう依頼を受ける。
資産家の別荘に赴いた彼女は、
またしても何者かの襲撃を受ける。
表題作『暗い潮流』で日本推理作家協会賞短編部門を受賞した若竹七海の短編ミステリー集。
どの作品も「家」と「歪んだ家族・人間関係」がキーとなっている。
ほとんどの作品が依頼を受け調査をするという探偵ものの形式を取っている中、
一番のお勧めは唯一その形式を取らず犯人の独白でストーリーが展開される『狂酔』。
教会に隠された欺瞞に振り回された主人公とその周囲を取り巻く人物の惨めながらひたむきな生活は美しく感動的ですらあるのだが、
作者が最後の最後に設置した仕掛けに世界が反転し度肝を抜かれる。
その他の作品もミステリーとして及第点以上のクオリティ。
文体も読みやすいもので短編なのでサクッと読むことができる。
『蝿男』
探偵の葉山は、
今は誰も住んでいない屋敷に母の遺骨を取りに行って欲しいという依頼を受け現場に赴くが、
そこで何者かの襲撃を受ける。
『暗い潮流』
5人を殺害、23人を負傷させた死刑囚・磯崎の元に山本優子という女性からファンレターが届く。
山本の正体を探るよう依頼を受けた雑誌編集者は調査を続ける内に、
山本優子が実在しかつて磯崎と近所付き合いをしていた事を知る。
『幸せな家』
失踪した女性雑誌編集者の捜索を依頼されたライターは、
彼女が周囲の人間を脅迫し金銭を得ていたのではないかという疑いを持つ。
だが、事態は思わぬ方向に進んでいく。
『狂酔』
とある教会で立て篭り事件が発生した。
犯人である男はその教会と自分の生い立ちとの関係について話し始める。
『道楽者の金庫』
探偵を休業し古本屋でアルバイトをしていた葉山は、
ひょんな事からとある資産家の金庫の番号が隠されていると思われるこけしを探すよう依頼を受ける。
資産家の別荘に赴いた彼女は、
またしても何者かの襲撃を受ける。
表題作『暗い潮流』で日本推理作家協会賞短編部門を受賞した若竹七海の短編ミステリー集。
どの作品も「家」と「歪んだ家族・人間関係」がキーとなっている。
ほとんどの作品が依頼を受け調査をするという探偵ものの形式を取っている中、
一番のお勧めは唯一その形式を取らず犯人の独白でストーリーが展開される『狂酔』。
教会に隠された欺瞞に振り回された主人公とその周囲を取り巻く人物の惨めながらひたむきな生活は美しく感動的ですらあるのだが、
作者が最後の最後に設置した仕掛けに世界が反転し度肝を抜かれる。
その他の作品もミステリーとして及第点以上のクオリティ。
文体も読みやすいもので短編なのでサクッと読むことができる。
2014年5月15日木曜日
小説:湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』
化粧品会社の女性社員・三木が殺害された。
その疑いの目は事件直後から行方をくらました彼女の同僚である城野に向けられる。
フリーライターの赤堀は、
ふたりの後輩である狩野から事件の話を聞き取材を開始する。
彼女を犯人と確信する者、
彼女を擁護する者、
彼女の家族・親友・同僚、
彼女を取り巻く人々の話が城野という女性の人物像をあぶり出し、
それはやがて雑誌やSNSを通じて形を変えながら拡散していく。
『告白』『北のカナリアたち』など、
立て続けに映画化されたヒット作を世に放っている湊かなえの小説。
本作も井上真央・綾野剛・菜々緒らをキャストに迎え映画化された。
『告白』が主人公の独白によって成立していたストーリーであるのに対し、
本作は城野を取り巻く人物が話す会話や雑誌・SNSにより事件の真相が明らかになっていくという構成が取られている。
ジャンルとしては叙述トリックにより読者のミスリードを導くサスペンスということになろうが、
事件の真相に関して言えばサスペンス的な驚きは少なめである。
むしろ、人間がいかに自分に都合が良いように記憶を捻じ曲げ話をするかといった点と、
それらが情報化社会において様々な形で拡散していく可能性があるという恐怖を描くことに主眼が置かれているように感じた。
しかしながら、テーマとしては決して目新しいものではない。
また、物語の構成上仕方がない部分ではあるが、
各登場人物の会話が説明的かつ冗長になりがちであり、
読み進めるにあたり焦ったさを感じさせる点もある。
どの登場人物も一癖も二癖もある人間ばかりで、
事件の真相が明らかになっても誰も得をしないというところも、
人によっては読後の満足感を削ぐ原因たり得るだろう(個人的には嫌いではない)。
その疑いの目は事件直後から行方をくらました彼女の同僚である城野に向けられる。
フリーライターの赤堀は、
ふたりの後輩である狩野から事件の話を聞き取材を開始する。
彼女を犯人と確信する者、
彼女を擁護する者、
彼女の家族・親友・同僚、
彼女を取り巻く人々の話が城野という女性の人物像をあぶり出し、
それはやがて雑誌やSNSを通じて形を変えながら拡散していく。
『告白』『北のカナリアたち』など、
立て続けに映画化されたヒット作を世に放っている湊かなえの小説。
本作も井上真央・綾野剛・菜々緒らをキャストに迎え映画化された。
『告白』が主人公の独白によって成立していたストーリーであるのに対し、
本作は城野を取り巻く人物が話す会話や雑誌・SNSにより事件の真相が明らかになっていくという構成が取られている。
ジャンルとしては叙述トリックにより読者のミスリードを導くサスペンスということになろうが、
事件の真相に関して言えばサスペンス的な驚きは少なめである。
むしろ、人間がいかに自分に都合が良いように記憶を捻じ曲げ話をするかといった点と、
それらが情報化社会において様々な形で拡散していく可能性があるという恐怖を描くことに主眼が置かれているように感じた。
しかしながら、テーマとしては決して目新しいものではない。
また、物語の構成上仕方がない部分ではあるが、
各登場人物の会話が説明的かつ冗長になりがちであり、
読み進めるにあたり焦ったさを感じさせる点もある。
どの登場人物も一癖も二癖もある人間ばかりで、
事件の真相が明らかになっても誰も得をしないというところも、
人によっては読後の満足感を削ぐ原因たり得るだろう(個人的には嫌いではない)。
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