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2016年10月12日水曜日

映画:『ジェイソン・ボーン』

〜ストーリー〜
CIAの監視の目をかいくぐり、
アテネに潜伏していたジェイソン・ボーンの元に、
かつての同僚ニッキーが現れる。
彼女はCIAのデータベースをハッキングし、
かつてボーンが白日の下に晒したトレッドストーン計画に関するさらなる真実と、
新たな計画アイアンハンドの情報を入手し、
それを阻止するようボーンに依頼する。
ニッキーの動きを突き止めた女性分析官リーは、
ふたりを確保するチームの指揮を執ることを志願するが、
長官デューイは並行してボーンに私怨を持つ凄腕の作戦員アセットを召還し、ボーンの暗殺を目論む。

「ボーンシリーズ」としては『ボーン・レガシー』以来4年ぶり、
また、ジェイソン・ボーンを主人公とした作品としては9年ぶりのシリーズ最新作。
主演はもちろんマット・デイモンが務め、
ニッキー役のジュリア・スタイルズも続投。
また、新たに、
トミー・リー・ジョーンズとヴァンサン・カッセル、
そして、『アンナ・カレリーナ』などの新鋭アリシア・ヴィキャンデルらが主要キャストに名を連ねる。

スピンオフでついたケチを払拭すべく、
主人公の名前を映画のタイトルとし、
観客や興行収入などあらゆる面の期待に応えようとする気概で制作されたは認めるが、
全体的な出来としては残念ながら旧3部作に及ばなかったと言わざるを得ない。

ボーンシリーズと言えば、
手持ちカメラによる臨場感に溢れた鍛え上げられた肉弾戦による格闘や、
その場にある道具を使って危機を切り抜けるというジャッキー・チェンが得意としそうな頭脳プレーが魅力のひとつ。
しかし、本作のアクションは、
まず半分以上がバイクか車によるチェイスに費やされている。
こりゃマイケル・ベイかワイルドスピードか?
そして、格闘のほとんどはヴァンサン・カッセル扮するアセットが担当しており、
しかもこれが誰であろうとどんな場所でも銃でスパスパ処理していくため、
まったく暗殺の要素がなくむしろ観ている側が後処理が心配になってしまうほどやることが荒い。
ヴァンサン・カッセルの見せ場を作るためでもあると思うが、
いくらなんでもやり過ぎである。

ストーリー面においても、
○トレッドストーンに関する新たな真実が後付け臭い。
○アイアンハンド計画も既に他の映画でさんざん使い古されたアイディアである。
○セキュリティゆるゆるガバガバのCIA。
など、粗が目立つ。

アクション映画単体として観た場合には及第点ではあるが、
ジェイソン・ボーンというキャラクターか、
マット・デイモンによほどの思い入れがなければ、
シリーズのファンには厳しい作品かも知れない。

2016年9月15日木曜日

小説:折原一『101号室の女』

〜ストーリー〜
母と息子のふたりで経営する古びたラブホテルにひとりの女性客が来た。
母と女性客はお互いに不信感を抱き、
母は息子に女性客を追い出せと諭すが…。
表題作『101号室の女』を含む9編の短編集。

ミステリー作家・折原一が、
1990年代初頭に発表した短編ミステリー9編を収めた短編集。
多くが夫婦や親子を取り巻く事件をテーマとしており、
いずれの作品も著者お得意の叙述トリックとどんでん返しを堪能することができる。
表題作『101号室の女』は、
映画『サイコ』を題材としているが、
映画の内容を知っている人ほど意外な展開を楽しむことができるだろう。
短編なのでストーリーがスッキリまとまっており、
短い時間でミステリーの醍醐味を堪能できる点も良い。
何しろ著者の長編ときたら、
各章ごとにこちらを撹乱するかのようなクライマックスを用意し、
それらを終章できっちりと一纏めにしてしまうという、
よくもこんなオチを付けられるものだと感心してしまう一方で、
ストーリーの整理にものすごく頭を使う作品が多い。
その点では著者の作品の入門編として、
本作にハマれば長編にトライしてみるのはアリだと思う。

2016年9月13日火曜日

小説:小林泰三『セピア色の凄惨』

〜ストーリー〜
とある探偵事務所にひとりの女がやって来た。
わずか4枚の写真とそれにまつわる思い出だけを手掛かりに、
親友であるレイという女の行方を探して欲しいという。
依頼を受けた探偵は写真に写った人々への聞き込みを開始するが、
彼らが語るのはレイという女には関係のない奇想天外な話ばかりであった。

探偵と依頼人である女、そして、
依頼に関わる4人の人物が語るストーリーをまとめた小林泰三の短編集。
初恋の女に異常なこだわりを持つ男、
極度にめんどくさがりな女、
心配性が過ぎる女、
だんじりの先導役として死ぬことに強い憧れを持つ男など、
何かしらの極端なくせを持つ人物の、
屁理屈とグロテスクに満ちたストーリーが展開される。
良い意味での読後の不愉快さも相変わらずで、
小林泰三節を堪能することができる。
最後の逸話で一応レイの正体が明らかとなるが、
こちらは多少強引なオチの付け方でおまけ程度に捉えておけば良い。

2016年9月12日月曜日

小説:小林泰三『幸せスイッチ』

〜ストーリー〜

『怨霊』
メリーと名乗るストーカーに狙われた女は警察に通報するが、
そこにΣという探偵が現れ事態は思わぬ方向に進んでいく。

『勝ち組人生』
亡くなった叔母の財産を相続した女は、
幸福の尺度であるお金を増やし幸せを貯蓄することに喜びを覚えるが…。

『どっちが大事』
妻からの妻とスマホのどちらが大事かという質問に妻と答えた夫はスマホを破壊されてしまう。
それから妻の二択と要求はエスカレートしていき…。

『診断』
救急救命士の男がとある母子家庭の家を訪れた。
母親の屁理屈のせいで病院に連れて行くことが出来ぬままこどもの体調は見る見る悪化し…。

『幸せスイッチ』
両親を飛行機事故で亡くし財産を引き継いだ女は、とある男の出会いから人生の坂道を転がり落ちて行くことになる。
そんな時に幸せスイッチとそれを販売するNPOと出会い彼女の人生が変わっていくのだった。

『哲学的ゾンビもしくはある青年の物語』
突然自分を無視して同じ話を繰り返し始めた恋人。
友人が同じ症状に陥ったのを見た「僕」は、
3人で集まり再現実験を試みるのだが…。

小林泰三の短編集。
登場人物の屁理屈の応酬が得意技の著者の作品にあって、
本作は読んでいて腹立たしさを覚えるほどの「屁理屈祭」が全ストーリーにおいて展開される。
いずれも意外な展開に広がっていきあっと驚くオチがあるので読み応えはあるが読後にドッと疲れる。
一見短編同士に何ら関係性がないように見えるが、
最後の作品を除きなぜか竹内春子という人物が登場し、
最後の作品で一応のクロスを見せる。
また、初めの作品のΣは著者の他の短編にも登場する探偵で、
時空を超えた殺人事件など不思議な事件ばかり担当する変わった探偵。

2016年8月7日日曜日

映画:『オートマタ』

〜ストーリー〜
2044年、太陽嵐の増加による環境の悪化から、
世界の人口は0.3%にまで落ち込んだ。
荒廃した都市にあって、
急速に数を減らした人類の労働力に取って代わったのは、
ROC社が製造した人工知能ロボット「オートマタ」であった。
ある日、その危険性からROC社のみに認められたはずの改造を施された個体が発見され、
調査員のジャックは事件の真相を探るように会社から命じられる。

アントニオ・バンデラス主演のSFスリラー。
ロボットが自我に目覚めたら?というSF定番の設定を持つ作品。
前半の捜査パートはそれなりの緊張感を持って鑑賞できるのだが、
後半は思いついたシーンを繋ぎ合わせただけじゃないかと思うほど理解不能な展開が続き幕引きとなる。
よく似た設定でも『アイ,ロボット』の方がよほどエンターテイメント性に溢れていて楽しい。

2016年5月24日火曜日

小説:深木章子『鬼畜の家』

〜ストーリー〜
自動車事故により行方不明となった北川郁江と息子・秀一郎。
児童養護施設の友人から、
ひとり取り残された娘・由起名の独立のために、
保険金の支払いを拒否する保険会社との交渉材料を集めて欲しいと依頼を受けた私立探偵・榊原は、
北川家に関係するものへの調査を開始する。
やがて、調査の中で、
北川家の壮絶な家庭環境と、
郁江の周囲で不審な事故や自殺が相次いでいたことが明らかになる。

本作で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した深木章子のデビュー作。
作者自体が東大卒業後、60歳まで弁護士を勤め上げそこからミステリー作家になったという、
小説の登場人物のような人物だそう。

タイトル通り鬼畜の家と呼ぶべき郁江とそのこどもらの壮絶な家庭環境が、
関係者への調査を通じて炙り出されていく課程が主として描かれる。
しかし、その中の一件本筋とは関係なさそうな複数のエピソードが実は伏線となっており、
終盤で隠された真実が明らかになる。
どんでん返しに次ぐどんでん返しはミステリー好きには涎垂もの。
鬼気迫る感じは少ないものの、
保険金も話に絡むことから『黒い家』が好きな方も楽しめるのでは。

本作の主人公・榊原の登場するシリーズは他に2作あり、
受賞もされるなど評価は高い模様。
続けて購読の予定。

2015年10月21日水曜日

映画:『シグナル』

〜ストーリー〜
MITの学生であるニックとジョナは、
ノーマッドという人物からハッキングと挑発を受けていた。
IPアドレスからノーマッドの居場所を突き止めたニックたちは、
恋人のヘイリーを連れてネバダにある廃屋に足を踏み入れる。
だが、気がつくと彼らは謎の組織に捕らわれ、
宇宙人と接触した事による感染症の疑いから施設に幽閉されてしまう。

若手俳優ウィリアム・ユーバンクと、
『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン主演のSFスリラー。
画面は美しいのだが、
とにかく説明不足のまま最後まで突っ走るうえに、
かったるい演出で話が遅々として進まない非常に退屈な作品。
考える余地を多分に含んだ作品と評価する声もあるようだが、
思考停止に陥っていたとしか思えないほど適当に継接ぎしたような酷いストーリーだった。

2015年9月22日火曜日

映画:『ナイトクローラー』

〜ストーリー〜
定職に就くことができず、
コソ泥をしながら自堕落な生活を送るルー。
ある日、彼は偶然居合わせた交通事故の現場で、
その様子を撮影する男達ー事件や事故専門のパパラッチに遭遇する。
撮影用のカメラとアシスタントを手に入れたルーはやがてメキメキと頭角を現し、次々と特ダネを飛ばす。
しかし、その取材はやがて超えてはならない一線を超え始め…。

ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ主演。
事件・事故専門のパパラッチとなった青年が、
業界のルールも法も無視した常軌を逸する取材で成り上がっていく姿をスリリングに描いたスリラー映画。
このテの映画にありがちなマスコミ・パパラッチあるいは一般大衆批判には目もくれず、
ひとりの青年の狂気とそれを助長するテレビディレクターとの「共犯関係」をひたすら描いている。
この点ではクライムムービーという見方さえ出来ると思う。
勧善懲悪ストーリーではないので、
主人公が犯した罪が裁かれることもなく、
人によってはモヤモヤした思いを抱えたまま鑑賞を終える事になるだろう。
それでも常に画面上を漂う緊張感と、
ジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技で最後まで引っ張ってくれる見応えのある作品。

2015年9月2日水曜日

小説:フランク・ティリエ『GATACA』

〜ストーリー〜
双子の娘を誘拐されひとりの命を奪われ、
失意に陥ったリューシーは警察を辞職し、
残された娘と母と共に静かに暮らしていた。
ある日、リューシーはかつての同僚から、
犯人が不可解な方法で自殺したことを聞き、事件の真相を独自に追い始める。
一方、リューシーと同じく心に傷を負い、
殺人課に異動したシャルコは、
とある研究施設でチンパンジーによるものと思われる殺人事件の捜査にあたっていた。
やがて、2つの事件は交差し始め、
恐るべき犯人の正体と、人間の遺伝子に潜む秘密が明らかとなる…。

2015年8月23日に紹介の『http://kakidame-kakidame.blogspot.com/2015/08/e.html』のその後と新たな事件を描いた続編。
本作においても著者お得意の猟奇殺人事件と、
生物の進化や遺伝子という壮大なテーマをベースとし、
無関係に思われる事象が収束したうえに事件の意外な真相と犯人が明らかになるという、
優れたサスペンスを読んだ時に覚える快感を味わう事ができる。
また、本筋とは無関係ながら残された謎があり、
その真相は日本未訳の『ATOM[KA]』という続編に委ねられている模様。

2015年8月23日日曜日

小説:フランク・ティリエ『シンドロームE』

〜ストーリー〜
元恋人が失明に至った謎の短編映画を収めたフィルムを追うリューシー。
脳と目を摘出され殺害された5人の遺体の身元を追うシャルコ。
2人の刑事が追う2つの事件は、
シンドロームEという言葉をキーに交差し始める…。

フランスの作家フランク・ティリエの作品で、
2011年にハヤカワ文庫より出版されたスリラー。
それ以前に出版されている『死者の部屋』の主人公リューシーと、
『タルタロスの審問官』『七匹の蛾が鳴く』の主人公シャルコがW主人公として登場している。
いずれの作品も心に傷を負っている主人公が猟奇殺人を追うストーリーで、
人間の心の闇がテーマとなっている。
非常に暗い話が多いが意外な犯人などサスペンス作品としても読み応えのある作品ばかり。
本作はこれまでの著者の作品と比べると国や時代をも超える壮大なストーリーが展開されているが、
根底にあるテーマは変わらず、
先の読めない展開に思わずページをめくる手が止まらなくなる。
上に挙げた3作品を先に読むことをお勧めするが、
繋がりはほとんどないので独立した作品として読むことが可能。
また『GATACA』という続編があるが、
本作を最後まで読むとこちらも読まざるを得なくなる憎い構成をしている。

2015年8月15日土曜日

映画:『プリズナーズ』

〜ストーリー〜
ペンシルヴァニアで工務店を営むドーバーは、
家族と隣家のバーチ一家と共にサンクスギビングデーを楽しんでいたが、
その最中、ドーバーの娘・アナとバーチの娘・ジョイが行方不明となってしまう。
すぐさま容疑者としてアレックスという青年が浮上するが、証拠不十分で釈放となる。
しかし、アレックスの何気ない一言で彼を犯人と確信したドーバーは、
自白を引き出そうとアレックスを監禁し拷問にかける。
その頃、事件を担当するロキ刑事は、
ふたりの無事を祈るキャンドルナイトで不審な男を目撃。
尋問を試みるが男はロキの追跡を振り切り逃走してしまう。
果たしてふたりの少女を誘拐したのは…?

ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール主演。
二転三転する先の読めない展開を、
被害者と加害者両方の立場から、娘の誘拐の被疑者や事件を担当する刑事とのスリリングな駆け引きがストーリーの面白さを加速させる、
見応えのあるサスペンス映画。
一見バラバラに見える一つ一つの事象が実は伏線であり、
事件の真相が明らかになるにつれ収斂されていく構成もお見事。
ただ、「愛する者を助けるためならたとえ犯罪にも手を染めるのか?」
というテーマを、
ヒュー・ジャックマン扮する元々善良であった市民が理性を失っていく様子を描くことで観客に突き付けようとしているようだが、
ここだけはイマイチ乗り切れなかった。
元々堅物過ぎて何かヤバそうな雰囲気を出している親父だったので、
こうなる事が至極当然の事のように受け入れられてしまううえ、
監禁や拷問があまりにも”やり過ぎ”でまったく共感できなかったのが原因。
狂気に陥った親父を演じるヒュー・ジャックマンはさる事ながら、
狂った親父に監禁される10歳児並みのIQしかない男アレックスを演じるポール・ダノの演技がすごい。

2015年8月10日月曜日

映画:『トランセンデンス』

〜ストーリー〜
人工知能分野の第一人者であるウィルとエヴリンは、
独自に構築した人工知能PINNで機械が人間の知能を超える特異点を目指し、
日々研究に勤しんでいた。
ある日、ウィルはハイテクノロジーからの脱却を主張するテロ組織「RIFT」の銃弾に倒れる。
エヴリンはPINNにウィルの脳内データをコピーし、
ウィルを人工知能として復活させる事に成功する。
インターネットに接続されたウィルは、
ありとあらゆるシステムにアクセス、
さらにナノマシンにより人間や物質の構成をも可能とするまでに力を増大した。
これを危険視したFBIやかつての研究仲間たちは、
RIFTを利用しウィルの消去を試みるが…。

ジョニー・デップ主演のSF作品。
製作にダークナイトシリーズのクリストファー・ノーランが名を連ねる。
行き過ぎたテクノロジーへの警鐘がテーマだとは思うのだが、
AIとなったウィルを取り巻く人間模様を見せたかったのか、
AIと人との間に愛が成り立つのかを見せたかったのか、
はたまたSFアクションにしたかったのかなどなど、
見せ方にまとまりを欠いた何を伝えたいのか分からない作品という印象を受けた。
せっかくモーガン・フリーマンも出演しているのに、
中途半端な扱いで役柄に必要性を感じさせない。

2015年7月4日土曜日

映画:『クロース・エンカウンター 第4種接近遭遇』

〜ストーリー〜
1980年にUFO目撃事件が発生したイギリス・レンドルシャルムに、
古代の秘宝を探し求めそのドキュメンタリーを撮影しようとやって来た3人の若者たち。
彼らはそこで空を飛ぶ謎の発光物体を目撃する。

実際に起きたと言われるUFO目撃事件をモチーフに製作されたPOV形式のSFスリラー。
予告編のナレーターを矢追純一が担当している時点でB級映画確定だろうと思っていたら、
CGだけは意外と健勝している、単にストーリーが面白くないだけの映画だった。
ただでさえ、森で道に迷う→UFO出現でパニックという単調なシーンが繰り返されるだけの映画なのに、
UFOが出現する肝心なシーンになると電磁波の影響なのか機械が不調になり何をやってるのか分からなくなる。
劇中にいくつか提示された謎もほぼ明かされることなく終幕を迎える。
観客を楽しませる気が全くなかったのだろうかとそんな気にさえなってしまう。

原題は『HANGER 10』。
ストーリー終盤に登場するキーとなる施設である。
邦題のクロース・エンカウンターはまだ分かるとして、
サブタイトルの第4種って何の事なんだろう?

2015年6月27日土曜日

映画:『プロジェクト・アルマナック』

〜ストーリー〜
デイヴィッドはある日、
若くして死んだ父親が遺したタイムマシンの設計図を発見する。
仲間らと共に過去に行き、過去を変えることで、
試験も恋愛も人生も全てが順調に進むかと思われた。
だが、その影響は未来に思わぬ影響を与えつつあった。

マイケル・ベイがプロデュースしたSF青春スリラーといった感じの映画。
タイムマシンの存在が明らかになるまで15分。
過去を変えたらやばいんじゃないかという事に気づくまで1時間20分。
ここまでタイムマシンを軸とした高校生のキラキラした青春ドラマが延々と続く。
この時点で映画終了まで残り20分。
事態は急転するのだが、それまでの説明不足がたたり、
なんでそんな状況になっているのかさっぱり分からないまま気付けばエンディングに。
結局何がしたい映画だったのかまったく分からなかった。
改めて、『バタフライ・エフェクト』の素晴らしさを実感。

2015年6月11日木曜日

映画:『ホステル』

〜ストーリー〜
東欧を旅行中の3人の若者は、
異性と遊ぶ事ができるというホステルの噂を聞き宿泊する。
そこには旅行者のみならず地元の美女も多く集まっており、
若者達は最高のひと時を満喫した。
しかし、ひとりが謎の失踪を遂げると共に、
残されたふたりの身にも危険が迫る。
実はそのホステルの正体は会員制の拷問クラブであり、
その餌食となる人間を物色するために設けられたものだった…。

海外旅行で秘密の組織に拉致され悲惨な目に遭うという都市伝説がプロットの映画。
SAW以来の痛グロ系/監禁系スリラーの中では代表作のひとつと言っても良いのではないかと思う。
SAWがギミック発動→死亡というなんだかんだでサクッとグロシーンが終わるのに対し、
本作は生身の人間が同じく生身の人間に直接手を加え、
加害者が快楽を覚える姿と凄惨極まりない被害者のコントラストをこれでもかと見せつけてくるため、
痛々しさを感じる度合いは遥かに高い。
『ヘルレイザー』みたいな作品が好きな人や、
サディスティックな嗜好を持った人にオススメ。

2015年6月9日火曜日

小説:五十嵐貴久『リカー完全版ー』

〜ストーリー〜
友人が出会い系サイトで次々と女性と出会い遊んでいる事を聞いた主人公は、
妻子を持つ身でありながら自らも出会い系サイトに手を出し始め、
やがてリカという女とやり取りをするようになる。
初めは会話を楽しんでいた主人公だがリカの異様性に気付き距離を置き始めた。
しかし、リカの想いは留まる事なく膨れ上がり、
やがて主人公のみならずその周囲の人間にまで危害を及ぼし始める。

『交渉人』シリーズや『パパとムスメ』シリーズ、『Fake』などで知られる五十嵐貴久が、
ホラーサスペンス大賞を受賞し華々しいデビューを飾った作品。
知る人ぞ知るホラー漫画『座敷女』にハマった人なら間違いなくハマる。

顔立ちは整っているはずなのに、
ゾンビを彷彿とさせるかのような黄土色の肌と底知れぬ闇を讃える異様な目付き。
口からはマスクをしても防げないほど異様な臭いが放たれる。
普通の成人男性では歯が立たない身体能力を持つ一方で、
元看護師で医学の知識を有するほど優れた頭脳を持つ。
こんな女に付き纏われたら人生一環の終わりに決まっている。

一見荒唐無稽な設定でありながら、
主人公の恐怖を追体験しているかのように感じられるのは、
筆者の緻密な文章の積み重ねがあってこそ。
これは完全版という事で、大幅な加筆修正が加えられているそうなのだが、
完全版で追加されたエピローグには度肝を抜かれる。
これでもかと見せつけられたリカという女の闇の深さを、
もはや引き返す事のできない暗黒に引き摺り下ろすかのような強烈なエピローグ。
普通小説でも映画でもゲームでもリメイクの追加要素って「必要だった?」と思わされる事の方が多いが、
本作に関してはまさに完全版という言葉を冠するにふさわしいものになっている。

2015年6月8日月曜日

漫画:カネコアツシ『SOIL』

〜ストーリー〜
郊外の山間に位置する住宅地「そいるニュータウン」。
街を停電が襲ったある日、
鈴白という一家と巡回に出ていた巡査1名が失踪する。
事件の一報を受けた刑事・小野田と横井はそいるニュータウンへ向かう。
鈴白家に踏み込んだ小野田らを待ち受けていたものは大量の塩の固まりであった。
それを機に街には怪奇現象が次々と発生。
さらに、街の住民の間に疑心暗鬼が生まれ始め、
平和に見えたそいるニュータウンに潜む闇が徐々に明かされていくのであった…。

WOWOWで実写ドラマ化もされたカネコアツシによるサスペンススリラー。
単行本全11巻。
失踪した一家の捜索を主軸に、
人の心の暗部を描く群像劇でもあり、
怪奇現象の謎を解き明かしていくSFスリラーでもあるという、
様々な要素がぎゅっと濃縮された作品。
あらゆるところに伏線が張り巡らされており、
一見突拍子もなく見える現象にもそれなりの原因や理由があるようになっている。
ただでさえ複雑なストーリーなのだが、
カネコアツシ氏独特のペンのタッチと相まって、
特に終盤は混沌さに拍車がかかる。
大変読み応えはあるのだが、
人によってはまとまりのない作品という印象を持ってしまうかも知れない。

2015年5月31日日曜日

映画:『ダークハウス』

〜ストーリー〜
かつて5人の男女が惨殺された屋敷で、
交霊の儀式を行っていた4人の若者が殺害されるという事件が起こった。
刑事マークと心理学者のエリザベスは、
事件の真相を明かし行方不明となったふたりの行方を探るべく、
現場で唯一の生存者であるジョンを聴取するが・・・。

『ソウ』シリーズのジェームズ・ワンが総指揮を務めたホラースリラー。
キーパーソンであるジョンへの聴取と彼が語る真相を軸に、
交霊の様子を撮影するために設置されていたビデオの解析と、
現場に残された手がかりによる捜査という3方向から、
事件の真相を暴こうとする刑事たちの奮闘を描く。
特殊効果によるこけ脅しも含め途中までは割と楽しく鑑賞できるのだが、
たまにストーリーの繋がりにほころびが生じている点と、
ラスト15分に出てくるたったひとつのセリフで事件の真相の8割が分かってしまうという点が残念。
ちょっと脚本の詰めが甘かったんじゃないかと思う。

2015年5月6日水曜日

映画:『サボタージュ』

〜ストーリー〜
麻薬取締局特殊部隊リーダーのジョンは、
ある日、とある麻薬カルテルを急襲。
組織の壊滅と同時にその資金1000万ドルを盗むことに成功する。
しかし、うまく隠したはずの1000万ドルは一夜にして何者かに持ち去られてしまう。
さらに、事件に関わった者が残虐な方法で次々と殺されていき、
チーム内に疑心暗鬼が生まれていく。
ジョンは殺人事件を担当する女刑事とともに真相を追うが・・・。

アーノルド・シュワルツェネッガー主演、
2014年公開のアクションスリラー。
シュワちゃんの新境地とでも言うべきスリラー映画だが、
事件の真相が分かりやす過ぎる。
分かりやす過ぎてミスリードなのかと思ったら、
やっぱり事件の真相だった。
真相が明らかになる過程の中で一捻りは一応あるものの、
それも伏線なしに唐突に現れるものなので、
内容が薄っぺらく感じてしまう。
構成を変えれば面白い作品になっただろうなという残念な作品。

2015年5月4日月曜日

映画:『ザ・ウォード 監禁病棟』

〜ストーリー〜
放火の罪に問われ、
精神病院の監禁病棟に入院させられたクリステン。
彼女の周りでは怪奇現象が発生し、
やがて共同生活を送っていた4人の少女もひとりひとりその姿を消していく。
ある日、アリスという少女の影が事件の背後にある事を知ったクリステンは、
自らの命を守るために病院からの脱出を企てる。

『遊星からの物体X』や『ハロウィン』のジョン・カーペンター監督が、
10年ぶりにメガホンを取ったことで話題になったホラースリラー。
・怪しげな医師と看護師
・物語のキーとなるとある入院患者
・見ているものは怪奇現象という現実か、それとも妄想なのか?
という、精神病院を舞台としたスリラーによくある要素が一通り揃った作品。
ホラー要素もありそれほど退屈せずに鑑賞はできるのだが、
現実とそうでない部分が演出上ではっきりと分けられていないシーンがいくつかあり、
せっかく真相が明らかになったのに、
「じゃああのシーンっておかしくないか?」とモヤモヤさせられてしまった。