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2016年8月11日木曜日

映画:『コングレス未来学会議』

〜ストーリー〜
落ち目のハリウッド女優・ロビンは、
契約している映画配給会社ミラマウントからとあるオファーを受ける。
それは、彼女の身体・感情など全てをスキャンしCGキャラクター「ロビン」を作成、
今後は「ロビン」を映画に出演させるというものだった。
初めはオファーを拒否したロビンであったが、
難病を抱える息子の症状は日に日に悪化しており、
彼の看病と治療に専念するため契約することを決意する。
20年後、科学技術はより進歩し、
ミラマウントは現実と虚構の境目を飛び越える究極のエンターテイメントを与える薬品を製造した。
その発表会に呼ばれたロビンは、
想像を絶する世界に足を踏み入れることになる。

本人役のロビン・ライト主演、
ハーヴェイ・カイテル共演のSF作品。
前半は、少し変わったSF設定を持つヒューマンドラマなのかな?と思って観ていると、
20年後の世界からはほぼアニメーションでストーリーが展開される。
これは、現実をアニメと認識させるミラマウントの薬品によるものなのだが、
ここからは非現実的な場面が連続し、
展開も二転三転していくため付いていくのが大変になる。
家族愛を深く描くでもなし、
行き過ぎた科学技術に警鐘を鳴らすでもなし、
この作品で何を伝えたかったのかもよく分からない。
サンなんたら映画祭で絶賛なんて作品は奇をてらったものばっかで毎度こんなもんかと思う。

2016年7月18日月曜日

映画:『ブラック・スキャンダル』

〜ストーリー〜
FBI捜査官のコノリーは、
生まれ育ったボストンに勢力を伸ばしつつあるイタリア系マフィア殲滅のため、
地元サウシーのギャングの首領であり幼馴染であるバルジャーに、
情報提供の代わりに彼の犯罪を見逃すという協定を持ち掛ける。
バルジャーの弟で国会議員でもあるビリーは、
そんなふたりの様子を見て見ぬ振りをしつつ、
ふたりとはまた異なる道を進んでゆくのだが…。

ジョニー・デップ、ベネディクト・カンバーバッチ主演の、
実在のマフィアとFBIとの汚職事件を題材にしたクライムサスペンス。
宣伝ではマフィア・FBI・国会議員が手を組んだ汚職スキャンダルを映画化!などと銘打ち、
ド派手な映画である印象を与えていたが、とんでもない。
アホなFBI捜査官がマフィアに良いように扱われる様を描いただけのノンフィクション映画であり、
全体的に暗くてじめーっとした空気が漂う退屈な映画だった。
単なるチンピラに近かったギャングがいかにしてのし上がっていったのかという実録映画的な要素もあるが、
ほとんどナレーションや第三者のセリフだけで物事が進んでいくので、
バルジャーへの感情移入もしにくい。
家族関係もあっさりなので、
もはやベネディクト・カンバーバッチ演じる兄の存在すら必要だったのか疑問に思う。
ジョニー・デップはさすがの怪演というところだが、
同じハゲキャラなら『ラスベガスをぶっ飛ばせ』の方がキレッキレ。

2015年10月31日土曜日

小説:荻原浩『砂の王国』

〜ストーリー〜
エリート証券マンからホームレスに転落した山崎は、
占い師の龍斎と容姿端麗なホームレス仲村と出会い、
人生を逆転させる妙案を思い付く。
それは、宗教団体を作ることであった。
3人が立ち上げた「大地の会」は順調に規模を拡大し金を生み出していくが、
会員が増えていくのに従って徐々に綻びが生じ始める…。

『オロロ畑で捕まえて』『明日の記憶』『噂』など、
幅広いジャンルで才能を発揮する小説家・荻原浩による長編小説。
ストーリーはホームレス期・創立期・転換期の主に3部構成により成り立っており、
山崎の過去や心理を深く描写する事で、
人生の逆転の道を進みながらも苦悩にもがく人間の姿と、
彼を取り巻く心に何かを抱えた人々の人間模様を描くヒューマンドラマが展開される。
他方で、様々な思惑の元、
肥大化する組織がその性質を変容させていき、
ややもすれば暴走し危険性を孕んでいく様子も描かれる。
宗教団体の暴走というと日本人にとってはアレルギーすら引き起こしかねないテーマであり、
本作においては主題には添えられていないが、
不吉なものを予感させる少し怖い作品ともなっている。
相変わらず著者の文章は読みやすく、
文庫本にして上下2巻の大作であるが時間を忘れて読書に没頭できる。

2015年10月21日水曜日

映画:『チャッピー』

〜ストーリー〜
ヨハネスブルグでは人型警察ロボットが導入され、
犯罪率の抑制に効果を上げていた。
開発者であるディオンは、
独自に構築した人工知能の導入を提案するが却下され、
廃棄寸前のロボットを自宅に持ち帰りプログラムをテストしようとする。
しかし、帰宅の途中でギャングの襲撃に遭い、
奪われたロボットはチャッピーと名付けられる。
廃棄寸前であったチャッピーの寿命であるバッテリーは5日分の残量しかなく、
チャッピーはギャングに生活の術を学びながら生き残る道を模索するが・・・。

『第9地区』『エリジウム』のニール・ブロムカンプ監督の最新作。
「南アフリカ」「近未来」「ギャング」「マイノリティー」というキーワードで、
『第9地区』との共通点を見出す事の出来る本作。
『第9地区』がアパルトヘイトを題材とし、
組織に追われる身となった男の孤独を緊迫感を持って描こうとしていたのに対し、
本作は人工知能を備え人と同じく心も成長するマシンを、
彼を取り巻く人々がそれぞれに導こうとしそれにチャッピーが苦悩するという、
青春映画にも通ずるような「心の成長」がテーマとなっている。
ただ、生後3〜4日でとある大発明を成し遂げるほど知性のあるチャッピーの精神年齢がいつまでも子どもであるなど、
SF映画としては色々と矛盾してしまっている点がどうしても引っかかってしまう。
アクションシーンも終盤に固まっているため、
アクション映画として楽しもうとすると肩透かしを食らう可能性がある。

2015年8月10日月曜日

映画:『トランセンデンス』

〜ストーリー〜
人工知能分野の第一人者であるウィルとエヴリンは、
独自に構築した人工知能PINNで機械が人間の知能を超える特異点を目指し、
日々研究に勤しんでいた。
ある日、ウィルはハイテクノロジーからの脱却を主張するテロ組織「RIFT」の銃弾に倒れる。
エヴリンはPINNにウィルの脳内データをコピーし、
ウィルを人工知能として復活させる事に成功する。
インターネットに接続されたウィルは、
ありとあらゆるシステムにアクセス、
さらにナノマシンにより人間や物質の構成をも可能とするまでに力を増大した。
これを危険視したFBIやかつての研究仲間たちは、
RIFTを利用しウィルの消去を試みるが…。

ジョニー・デップ主演のSF作品。
製作にダークナイトシリーズのクリストファー・ノーランが名を連ねる。
行き過ぎたテクノロジーへの警鐘がテーマだとは思うのだが、
AIとなったウィルを取り巻く人間模様を見せたかったのか、
AIと人との間に愛が成り立つのかを見せたかったのか、
はたまたSFアクションにしたかったのかなどなど、
見せ方にまとまりを欠いた何を伝えたいのか分からない作品という印象を受けた。
せっかくモーガン・フリーマンも出演しているのに、
中途半端な扱いで役柄に必要性を感じさせない。

2015年7月25日土曜日

映画:『プリデスティネーション』

〜ストーリー〜
未解決事件が起きた時代に飛び、
犯罪を事前に防ぐことを目的とした時空警察。
捜査官ジョンは、
1万人以上を殺害した爆弾魔「不完全な爆弾魔」を殺害すべく、
1975年のニューヨークに飛ぶ。
バーテンダーとして働く彼の前にひとりの客が現れる。
彼は、自分が元々ジェーンという名の女性であり、
男となった現在に至るまでの数奇な運命を語り始める。

『ガタカ』『トレーニング・デイ』のイーサン・ホークと、
オーストラリアの新鋭女優サラ・スヌーク主演のSF作品。
時空を超えて犯罪者を追うSFサスペンスであり、
ひとりの人間の数奇な運命の物語であるという、やや変わり種の作品。
ポスターや予告編はややB級アクションテイストに作られているが、
ドラマとして鑑賞しサスペンスがそのスパイスであるという見方をするのが正解。
終盤に向けて謎が一つずつ解決されると同時に、
それがまた伏線となってジェーンの人生の歯車を加速させていくというストーリー構成が見事。
主演ふたりの演技も素晴らしく、
派手さはないが見応えのある作品。

2015年6月27日土曜日

映画:『プロジェクト・アルマナック』

〜ストーリー〜
デイヴィッドはある日、
若くして死んだ父親が遺したタイムマシンの設計図を発見する。
仲間らと共に過去に行き、過去を変えることで、
試験も恋愛も人生も全てが順調に進むかと思われた。
だが、その影響は未来に思わぬ影響を与えつつあった。

マイケル・ベイがプロデュースしたSF青春スリラーといった感じの映画。
タイムマシンの存在が明らかになるまで15分。
過去を変えたらやばいんじゃないかという事に気づくまで1時間20分。
ここまでタイムマシンを軸とした高校生のキラキラした青春ドラマが延々と続く。
この時点で映画終了まで残り20分。
事態は急転するのだが、それまでの説明不足がたたり、
なんでそんな状況になっているのかさっぱり分からないまま気付けばエンディングに。
結局何がしたい映画だったのかまったく分からなかった。
改めて、『バタフライ・エフェクト』の素晴らしさを実感。

2015年5月10日日曜日

映画:『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

〜ストーリー〜
人気セラピストの父・ステージママの母・13歳にして麻薬中毒である人気子役の弟というハリウッドセレブの家庭に生まれたアガサ・ワイス。
彼女はとある事件を起こしフロリダに送られていたが、
18歳を機にハリウッドに戻り落ち目の女優ハヴァナの秘書となった。
彼女の帰還によりワイス家に不穏な空気が流れ始める。

2014年のカンヌ国際映画祭にて、ジュリアン・ムーアが女優賞を受賞。
作品自体もパルムドールにノミネートされるなどして話題となった作品。

わがままなセレブ女優や人気子役、渦巻く野心と嫉妬、酒とドラッグなど、
ややもするとゴシップ的なハリウッドの裏側をひとつの家族とひとりの女優を通じて風刺しているが、
日本の芸能界でも同じような話を聞くところからすると、
芸事の世界というのは万国共通で魑魅魍魎の蠢く世界なんだろうなーと思わせられる。
ストーリーは、アガサ、ワイス家の抱える秘密が何なのかを明かさぬまま少々ミステリーチックに進行する。
登場人物はほぼ全員イカれているがリアリティは保たれるよう冷静に描かれている。
そんな中、ジュリアン・ムーアの怪演がストーリーに刺激を加える激辛のスパイスとなっている。

2015年3月23日月曜日

映画:『猿の惑星 新世紀ライジング』

〜ストーリー〜
人類と知能を持った猿との争いから10年。
猿インフルエンザの流行により絶滅の危機に瀕した人類は、
エネルギー源を求め猿のテリトリーに踏み込む。
人間を信用しようとするシーザーだったが、
それを快く思わない者もおり、
人類と猿のみならず、猿達の間にも不穏な空気が流れ始める。

『猿の惑星』前日譚を描く新シリーズ2作目。
それぞれの思いと思惑をもって対立する3つのグループが織り成すストーリーは非常が重厚かつ悲哀をもって描かれている。
あたかもギャング映画を観ているよう。
CG・アクションとも前作よりパワーアップ。
仮に3部作とすると、
次回のクライマックスではいよいよ人間と猿の闘いに終止符が打たれ、
自由の女神が砂に埋もれるのかしら。

2015年1月17日土曜日

映画:『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』

~ストーリー~
冴えない青年ティムは、
21歳の誕生日に父親から、
彼の一族には過去に戻るタイムトラベルの能力を持っているという事を告げられる。
彼は能力を駆使して人生のリセットを繰り返し、
順風満帆な生活を送っているように思われたのだが、
やがて避けられない運命のターニングポイントに直面すると共に、
人生において大切な事が何なのかに気付き始める…。

『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーライル監督作品。
タイムトラベルにより人生のリセットを繰り返す男の姿を描いたヒューマンドラマ。
「特別な力を持つからと言って幸せな人生を送る事はできない」
「平凡で退屈な人生の素晴らしさ」
といったテーマに特に目新しさはない。
むしろ、映画前半、能力を駆使して好きな女の子をゲットしようと奔走するシーンに人間らしさを感じられ楽しく鑑賞が出来た。

現在の記憶を残したまま過去に戻る事が出来るというチート能力だが、
それは、過去に戻る度に戻った分と同じだけの年月の人生を繰り返さなければならないという事であり、
(映画の構成上仕方はないが)それを無視して何度も人生をリセットする、
あるいは、人生が目論見通りに進んでいくという点にはご都合主義的なものを感じた。
同じ時空改変ものの『バタフライ・エフェクト』の素晴らしさを再認識。
主演は、ハリー・ポッターシリーズのドーナル・グリーソンと、
シャーロック・ホームズシリーズのレイチェル・マクアダムズ。
また、パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズで、
ディヴィ・ジョーンズを怪演したビル・ナイと、
ベケット卿を演じたトム・ホランダーが脇を固める。

2014年8月18日月曜日

映画:『アナと雪の女王』

〜ストーリー〜
アレンデール国の王女・エルサは、
氷を自由に操る能力を持っていた。
ある日、自分の能力で妹アナを命の危険にさらしてしまった事から、
エルサは自室に閉じこもり、
能力を制御できる日が来る日を待つこととなった。
両親が死んでしまい数年後、
王位の継承式でエルサは再び能力を暴走させてしまう。
国がどんどん雪と氷に閉ざされていく中、
アナは山岳地帯に姿をくらませたエルサを追う。

主題歌「Let It Go」と共に世界中で大ヒットを飛ばしたディズニーのCGアニメーション映画。
雪と氷の表現は素晴らしいし、
「Let It Go」を始めとした楽曲もキャッチーで耳触りが良いものが多い。
この辺りはさすがディズニーと思う一方、
ストーリーは甚だ凡庸で特筆すべき点はない。
雪だるまが夏に憧れるという退屈なミュージカルに5分を割くくらいなら、
やけにアッサリとした序盤の”事件”から両親の死を経ての王位継承式までを深く描くことで、
ストーリーやアナとエルサの姉妹愛しっかりとした背景を持たせるべきだった。
本作を凡庸・またはつまらないと評する声に対して、
原語である英語でストーリーを理解すべきという指摘もあるが、
例えばアラジンにしろ美女と野獣にしろ、
元の言葉の意味が分からなくても素直に楽しく満足を覚えられる作品は山ほどある。
本作のヒットには、
映像と音楽、そして、マーケティングの効果が寄与していることは、
違えようの事実であると思われる。

2014年6月1日日曜日

映画:『さんかく』

〜ストーリー〜
百瀬と佳代が同棲している部屋に佳代の中学生の妹・桃が夏休みを利用してやって来る。
佳代と倦怠期にあった百瀬は天真爛漫な振る舞いをする桃に恋心を抱いてしまう。
桃が田舎に帰ってからも連絡を取ろうとする百瀬。
だが、彼の微妙な心境の変化に気付いた佳代はいらぬ喧嘩を百瀬に仕掛けてしまい、ふたりは破局することになる。
取り返しのつかないことになり慌てた佳代は、何とか百瀬の気持ちを取り返そうとするが・・・。

高岡蒼甫・田畑智子・小野恵令奈共演の恋愛映画。
アラサーのバカ男代表・百瀬。
同じくアラサーのイタ女代表・佳代。
思春期の無邪気な悪意の権化・桃。
その他、人のいい佳代をマルチに引き込もうとする女友だちや、
アホで生意気で先輩ヅラを吹かせることだけ一流の百瀬にうっかりため口を聞いちゃう後輩など、
登場するキャラクターほぼ全員に妙なリアリティや「あるある」が詰め込まれている。
それ故に、彼らの織り成す人間模様をはじめは滑稽に感じることもあるのだが、
次第に笑えなくなり痛々しさすら感じるようになってくる。
サスペンスばりに伏線が張られたストーリーで、
それがキャラクターに説得力を持たせ物語をより真に迫ったものにしている。

2013年12月15日日曜日

映画:『鑑定士と顔のない依頼人』

~ストーリー~
世界的に有名な骨董品の鑑定士でありオークショニアであるオールドマン。
彼の元にクレアと名乗る女性から、
亡き父が遺した骨董品の数々を鑑定するよう依頼が入る。
彼女は広場恐怖症という精神疾患にかかっており、
オールドマンを公私に渡り翻弄する。
しかし、交流を深める内に愛が芽生え始め、ついにふたりは結ばれる。
クレアの病状も急速に回復し順調に見えたふたりの結婚生活。
しかし、それでもなおクレアには秘密があることをオールドマンは知る由もなかった…。

『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、
パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズにおけるキャプテン・バルボッサの怪演が記憶に新しいジェフリー・ラッシュを迎え製作したミステリー。

ストーリーの全てが伏線。
全ての謎や鑑賞中に感じた違和感がラストのどんでん返しで見事に氷解される。
そんなサスペンスとしての構成の巧みさもさる事ながら、
登場人物が織り成す重厚な人間ドラマも見もの。
この辺りはさすがジュゼッペ・トルナトーレ監督。
半券の提示で2回目1000円というキャンペーンが行われているが、それも納得の出来。
ややネタバレになるが、プロットとしては『dot the i』に似た部分があり、
両作品ともオススメしておきます。

2013年11月29日金曜日

映画:『SPEC 結 爻ノ篇』


※ネタバレは避けていますが重要な場面について幾つか触れています。
鑑賞予定の方はご注意を。



〜ストーリー〜
城旭斎浄海により発動されたシンプルプラン。
全ての首謀者であるプロフェッサーJと目された彼女であったが、
当麻はふとした事をきっかけにJの真の正体を暴く事に成功する。
だが、Jの目的と残忍なやり口に怒りを覚えた当麻は、ついに自身のスペックを発動。
J、そして、セカイとの最終決戦に挑む。

テレビドラマから始まったSPECシリーズ、真の完結編。
これまでさんざっぱら張り巡らせてきた伏線は何だったのかと思うほど説明不足・未解明・矛盾している部分が多く、
観客の理解を置き去りにしたままストーリーが進んでいく。
そのくせ、特に向井理扮するセカイを中心にクサイ・冗長な台詞回しが多くじれったさを感じる事もある。
ストーリーもろくに飲み込みきれないまま暗い雰囲気でストーリーが進んでいくため、一部を除いてお笑いシーンも全く笑えない。
お葬式なのに談笑しまくってる参列者に「空気読めよ…」という気持ちになるのと似たような感じ。
映画としての出来は最低クラスだと思う。
「ドラマは良いが映画はダメ」な堤監督のある意味最高傑作。
最後のシーンの意味も、ケイゾクの事をある程度知っている人でないと、絶対に分からない。
個人的にはアリだけど、知らない人にとっては蛇足以外の何物でもない。

こんなどうしようもない作品なのだが、
一番の見所は当麻を慕うスペックホルダー達が集結する場面。
やはりSPECの魅力の一つは個性的なキャラクター達なのだという事を改めて認識した。
また、前編に引き続き、北村一輝・渡辺いっけいの怪演が素晴らしい。
特に渡辺いっけいのメンインブラックのゴキブリ星人並のコミカルな動きに注目。
そして、これは賛否両論あるようだが、
個人的には当麻と瀬文が迎えた結末は一つのかたちとして納得できるものではあった。

2013年11月6日水曜日

映画:『SPEC 結 漸ノ篇』

※注意1:ドラマの中の専門用語がたくさん出てきますが、意味はスルーします。
※注意2:結構ネタバレ含んでいます。



~ストーリー~

世界のブレイン達は、
スペックホルダー殲滅のための計画、
シンプルプランの本格発動を決定した。
しかし、その裏に各国の思惑を感じ取った卑弥呼と名乗る日本の代表者はそれに反対の意を表明。
罵詈雑言を浴びせる他国のブレイン達を、セカイと同じ能力で消し去った。

一方、セカイは白い女(大人の潤)とともに、
現在のバブルをリセットするタイミング、
そして、その障害となりうる当麻が死ぬ瞬間を虎視眈々と待ち構えていた。

その頃、未詳のメンバーは、
病院から消えた里子と潤の行方を追っていた。
しかし、世界の動きに異変を感じた野々村は、
シンプルプランの発動を阻止すべく、単独行動に移った。

各国の思惑と暗躍、
当麻の両親に隠された秘密、
全ての鍵を握るプロフェッサーJという女、
当麻をはじめ未詳のメンバーの命を狙う謎のスペックホルダー。
それらが帰結する先にあるものとは…?


『ケイゾク』の続編として始まったテレビドラマSPEC。
その完結編、の前編。
さんざん広げまくった風呂敷をどう畳んで、
さんざん張り巡らした伏線をどう回収していくのか。
それらを期待して鑑賞する訳だが、
結論から言うと、
今回は"漸ノ篇"ではなく"係長ノ篇"、
そして、映画と同じ料金を支払って真の完結編である爻ノ篇の予告編を観に行った、
という表現が正確かも知れない。

初めはやたらとシーンの切り替わりが多い映画だなぁと思っていたけど、
これは恐らく伏線を全て回収しようとするとあまりに時間が長くなってしまうため、
とにかく本当に必要なシーンだけを詰め込もうとした結果だと思われる。
それでも長くなってしまうため、
いっそ丁度良いところで真っ二つに切って前後編にしてしまおう。
製作サイドの考えはこんなところだろうと思う。
映画の構成として、当然主役ふたりの活躍を後半にたっぷりと残した方が盛り上がるので、
前半で裏の主役とも言える野々村係長の活躍がクローズアップされるのは必然。
それを1本の映画として纏めたなら、そら"係長ノ篇"になりますわな。

それにしてもびっくりしのは、
映画本編終了後に爻ノ篇の予告が流れた後、
エンドクレジットもなく映画が終了したこと。
本当に真っ二つ!


上記の通りなので、
ストーリーとしてはとにかくぶつ切りな感じを受け、
決して出来が良いと言えるものではない。
長めのアクションシーンがもうワンシーンあれば、
ストーリーにメリハリがついたと思う。
幾つかの謎は解決されたが、また新たな謎も加わり、
それを爻ノ篇でどう終わらせるのかは楽しみではある。
そう、なんだかんだでこれだけ金のかかった壮大な予告編を見せられると、
否が応でも後編を観たくなってしまう。
その点で、映画の構成としても商業的な戦略としても、成功している作品と言えるかも知れない。
SPECらしいギャグシーンも結構あるのだが、
ストーリー自体が結構ダークなため、
あまり笑える雰囲気ではない。
そんな中で光っていたのは、
バナナ好きの医師を演じた渡辺いっけいと、
まさかの復活を遂げた吉川を演じた北村一輝の両名優。
また、ラッパーのバイク便など忘れかけていた小ネタも、
ドラマからのファンなら笑えない事もない。
小ネタと言えば、
香椎由宇演じる水を操るスペックホルダー、城旭斎浄海。
奇抜な外見とキャラ設定もさることながら、
"ジョジョ立ち"で未詳のメンバーの前に現れ当麻にそれを突っ込まれるという登場シーンがあるのだが、
よくよく考えると名前が城旭斎浄海(ジョウキョクサイジョウカイ)、つまり、ジョジョ。
先述したアクションシーンをもうひとつ加えるとするなら、
彼女に別の見せ場を与えても良かったと思う。

香椎由宇と言い、天の浅野ゆう子と言い、
よくこんなキャラOKしたなぁと思う。

そもそも観客の対象としているのが、
ドラマシリーズからのファン限定、一見さんお断りの作品だが、
せっかく天まで観たなら本作も観るべきだし、
本作を観たら後編を必ず観たくなると思う。


>>>後編はコチラから

2013年6月9日日曜日

映画:『光の旅人 K-PAX』

〜ストーリー〜
精神科医マークの元にプロートと名乗る男が現れる。
彼は自らをK-PAXという星からやって来た宇宙人だと言う。
初めは一時的な記憶喪失と精神錯乱を疑うマークだったが、
現在の地球では知り得る事のできない知識や、
彼の言葉が周囲の人々に与える影響を目の当たりにし、
自らの考えが揺らぎ始めるのを感じる。
しかし、ある時、プロートの正体ではないかと目される人物の情報が飛び込んでくる…。

ケヴィン・スペイシー/ジェフ・ブリッジズ主演のSFヒューマンドラマ。
プロートの正体を明らかにしようとするサスペンス的な要素を含みながら、
彼の放つ示唆に富んだ言葉に己の人生を考えざるを得なくなる不思議な作品。
優しい光に溢れる視覚効果も本作の暖かみに彩りを加える事に成功している。
興行的には振るわなかったようだが、
優しい気持ちになりたい時にはぜひ鑑賞をオススメしたい。

映画:『ミスター・ノーバディ』

〜ストーリー〜
2092年、科学技術の進歩はついに人間を不老不死にした。
不老不死の処置を唯一施さなかった人類最後の死者になり得る男、
ニモ・ノーバディはその死期が近づきつつあり、その動向は大衆の注目を集めていた。
ある日、彼の元にひとりの新聞記者が現れ、インタビューを敢行する。
だが、彼の語る3人の女性との人生は互いに複雑に絡み合い矛盾を孕んだものだった。
果たして真実はどこにあるのか…。

ややネタバレします。
『ファイト・クラブ』『レクイエム・フォー・ドリーム』のジャレッド・レトを主演に、
ダイアン・クルーガー(『ナショナル・トレジャー』『イングロリアス・バスターズ』)、サラ・ポーリー(『死ぬまでにしたい10のこと』『ドーン・オブ・ザ・デッド』)、リン・ダン・ファン(『戦場のピアニスト』)らをヒロインに迎えた作品。
「人生の選択」をテーマにした作品で、
主人公ニモが人生の岐路に立つ度に生まれる「次の人生」を同時並行的に一つの作品内で描いていくという意欲作。
とは言え、意外とストーリーは頭に入ってきやすく、
素晴らしい視覚効果のおかげもあって137分という長い上映時間を感じさせない。
ただ、オチの付け方が強引かつ分かりにくい部分があり、
「結局この映画って何が言いたいの?」という人が少なからず出るような、
好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思われる。
でも、それを初めから解って、あえて観た者に選択を委ねる作品を作ったんだろうなという感じもする。
だから、この作品を機に人生について考えるのも良し、つまんねと思ってすぐに忘れるのも良し、
ちょっと変わった群像劇、1人の男が3人の女について妄想する恋愛映画、あるいは、『バニラ・スカイ』や『バタフライ・エフェクト』のように時間軸と選択をテーマにしたSF映画という見方をするも良し。
個人的には、最終的に監督の伝えたい事は人生賛歌なんだろうと思うけど、
どう考えてもダイアン・クルーガーのヒロインパートの人生を良いように描いているので、それはフェアじゃないなーと感じた。
あと、15歳のニモが神木龍之介君に似てた。