2016年8月5日金曜日

映画:『シン・ゴジラ』

※ネタバレ注意。

〜ストーリー〜
東京湾に突如巨大生物が現れた。
ゴジラと名付けられたその生物は、
驚異的なスピードで進化し東京を瞬く間に火の海と化した。
アメリカを中心とした国連軍による核攻撃のカウントダウンが迫る中、
若き内閣副官房長官・矢口らを中心としたチームは、
ゴジラの脅威のみならず日本とその首都である東京、国民を救うべく、
最終作戦ヤシオリ作戦を実行に移す。

庵野秀明と樋口真嗣がタッグを組み製作された、
12年ぶりの純和製ゴジラ映画。

現代の日本にゴジラが出現した時にどのような事態が想定されるのかが政府の視点を中心に、
一切の無駄を省いたものすごいスピード感で展開されていく。
ゴジラが登場するシーンは意外と少なく、
政府の会議や自衛隊の作戦会議がストーリーの多くを占めるにも関わらず、
中弛みもなく最後まで鑑賞できるのはテンポの良さに負うところが非常に大きい。
また、全身全霊をかけてゴジラに立ち向かう関係者の姿は非常に胸熱。
ちなみに、一部の左寄りな人が批判している、
政府や自衛隊のプロパガンダだ!とか、
憲法9条を馬鹿にした映画だ!などという観点は、
普通に鑑賞する限り微塵も感じられないのでご安心を。
登場する兵器はほぼ全て自衛隊装備準拠らしく、
メカゴジラやモゲラはおろか、
ゴジラファンにはお馴染みの轟天号やスーパーX、オキシジェンデストロイヤーのような超兵器も一切登場しない。
普通の兵器じゃだめだ→もうちょい強い兵器なら多少効いたぞ→じゃあこの作戦でゴジラをやっつけよう!という組み立てに無理がない。
かつて量産された「プロレスゴジラ」を好きな人には物足りないかも知れないが、
基本的には「現実(ニッポン)vs虚構(ゴジラ)」という映画のキャッチコピー通り、
骨太なゴジラを楽しめると思う。

さて、肝心の主役ゴジラだが、
色々なかたちで期待を裏切られる。
まず、初回出現時は無茶苦茶しょぼい。
昭和のウルトラ怪獣と見紛うような着ぐるみ感全開の顔立ちをしている。
おまけに陸上に完全に適応できていない足の生えた巨大肺魚という扱いなので、
進路を豪勢に破壊しながらもモタモタ進軍する様はどこかコミカル。
そして、一度海に帰った後、
ようやく従来のフォルムとこれまでで最も凶悪な表情をしたいつものゴジラが再び姿を現す。
ところが、ここでもう一つ違和感を感じる。
圧倒的なパワーを持ちながら自衛隊の攻撃により多少ピンチに陥ったにも関わらず、必殺の放射線を吐かない。
あー、そこは現実に即して飛び道具を使わない生物としてのゴジラを打ち出しているのか…。
と思った矢先、
都心に到達したゴジラはいきなり口から紫色の放射線を放ったかと思うと、
さらに背中からも幾本ものレーザービームをぶっ放し、あっという間に東京を火の海に。
こんなのゴジラありか!?と度肝を抜かされるシーンなのだが、
それまでのストーリーや設定の積み上げがあるため、
ギリギリ許容範囲内、
ゴジラのパワーを再認識させられることになる。
この夜空に走る放射線と燃え盛る東京、そして、そこに佇むゴジラという中盤のこのシーンはまさに圧巻の一言、劇中屈指の名場面となっている。
(エヴァンゲリオンを観たことのある人なら、
ここでラミエル戦を思い出すこと必至)
ちなみに、最終戦では尻尾の先からもレーザービームが…。

総じて満足度は高い。
強いて難点を挙げると、
まったく子ども向きではないので、
夏休みに家族で映画を楽しみたいという方はドリーでもどうぞ。

2016年7月23日土曜日

映画:『オープン・グレイヴ 感染』

〜ストーリー〜
目覚めた男の周りには死体の山があった。
記憶喪失に陥っていた彼が森の中をさまよっていると、
同じく記憶をなくした者同士が集まる家があった。
彼らはなぜそこに集められたのか?
信用できる人物は誰なのか疑心暗鬼になりながらも、
記憶を取り戻すために家の外に足を踏み出した彼らが見たのは、
森のあちこちに設置された人間の遺体と、
雄叫びを上げながら彼らに襲いかかる狂人たちの姿だった。

『第9地区』『マレフィセント』のシャールト・コプリー主演のホラー作品。
ゾンビ映画の覇権を奪いつつある"感染者もの映画"なのだが、
そこに登場人物全員が記憶喪失という設定が入り、
記憶を取り戻すために主人公たちが謎に満ちた森を奔走するというサスペンス的な要素もある。
約1時間40分の上映時間の内ラスト10分になるまで、
断片的な情報と時折感染者が現れるだけで何の盛り上がりもなく、
あとは登場人物たちがいがみ合うだけの時間が続く。
誰一人まともな人間がいないので何の感情移入もできず非常に退屈。
そして、終了10分前に至る頃、主人公らは突然記憶を取り戻し、
たった数行のセリフだけで事件の真相をすべて語って映画は完結する。
最初と感染者が出るシーンと最後だけ観れば十分の駄作。

2016年7月20日水曜日

映画:『キック・アス』

〜ストーリー〜
冴えない学生デイヴはスーパーヒーローに憧れ、
ネットで買った安物のスーツを身に付けキック・アスと名乗り夜な夜な街に繰り出すようになった。
ある日、彼の動画がネットに公開され瞬く間に人気者となった彼だったが、
ひょんな事から残酷なマフィアであるフランク・ダミーコに命を狙われる事となる。
ダミーコに恨みを持つマクレイディ父娘は彼の人気に便乗し、
ビッグ・ダディ、ヒット・ガールというヒーローに扮しダミーコとの戦いに身を投じる。

クロエ・モレッツが下ネタを吐きながらド派手な殺戮を繰り出す姿が、
世界のドMなロリコンのみならず老若男女のハートを虜にしたアメコミ原作のアクション映画。
ヒット・ガールがこの映画の全てであり、
予告や作品紹介を見て面白そうと感じた人なら確実に楽しめるし、
そうでないなら決して鑑賞はオススメしない。
平凡な少年がある日突然〜というストーリーはありきたりだし、
やや残酷な無双系アクションも『リベリオン』『ウォンテッド』などでさんざんやり尽くされているもの。
クロエ・モレッツのヒット・ガールは確かに可愛らしくキャラが立ってもいるが、
良くも悪くもその存在だけで引っ張っている作品。
本作の主人公キック・アスを演じたアーロン・ジョンソンが、
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクイックシルバーだったことが個人的に一番の衝撃。

2016年7月18日月曜日

映画:『ブラック・スキャンダル』

〜ストーリー〜
FBI捜査官のコノリーは、
生まれ育ったボストンに勢力を伸ばしつつあるイタリア系マフィア殲滅のため、
地元サウシーのギャングの首領であり幼馴染であるバルジャーに、
情報提供の代わりに彼の犯罪を見逃すという協定を持ち掛ける。
バルジャーの弟で国会議員でもあるビリーは、
そんなふたりの様子を見て見ぬ振りをしつつ、
ふたりとはまた異なる道を進んでゆくのだが…。

ジョニー・デップ、ベネディクト・カンバーバッチ主演の、
実在のマフィアとFBIとの汚職事件を題材にしたクライムサスペンス。
宣伝ではマフィア・FBI・国会議員が手を組んだ汚職スキャンダルを映画化!などと銘打ち、
ド派手な映画である印象を与えていたが、とんでもない。
アホなFBI捜査官がマフィアに良いように扱われる様を描いただけのノンフィクション映画であり、
全体的に暗くてじめーっとした空気が漂う退屈な映画だった。
単なるチンピラに近かったギャングがいかにしてのし上がっていったのかという実録映画的な要素もあるが、
ほとんどナレーションや第三者のセリフだけで物事が進んでいくので、
バルジャーへの感情移入もしにくい。
家族関係もあっさりなので、
もはやベネディクト・カンバーバッチ演じる兄の存在すら必要だったのか疑問に思う。
ジョニー・デップはさすがの怪演というところだが、
同じハゲキャラなら『ラスベガスをぶっ飛ばせ』の方がキレッキレ。

漫画:『シークレット・インベーション』

〜ストーリー〜
日本で起きた忍者集団ハンドの蜂起。
その首謀者であったエレクトラは、
実はスクラル星人が変身した姿であった。
これをきっかけに、ヒーローの中に変身したスクラル星人がいることが発覚。
さらに、時を同じくしてスクラル星人の侵攻が始まった。
誰が本当の味方で誰が敵なのか、
疑心暗鬼の中、ヒーロー達はスクラル星人との戦いに挑む。

ヒーロー同士の戦いを描いた『シビル・ウォー』と、
その直後のキャプテン・アメリカ新シリーズに続く、
一大クロスオーバー作品。
地球侵略を狙うスクラル星人がヒーローとして人々の間に紛れ込み、
ヒーローに関わるあらゆる事件の裏で手を引いていたことが発覚するという衝撃の作品。
さらに、本作のラストは新シリーズ『ダークレイン』(これまでのヒーローに代わり本作で活躍したグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンらが国家や地球の防衛を任されるようになる作品群)へと繋がっていく。
本作に至るまでのストーリーは原作を読むしかないので、
英語が得意でない限り事件の背景を理解するには解説に頼らざるを得ないところが難点だが、
そこは飲み込んでマーベルヒーロー達の活躍と細かく描き込まれた美しいグラフィックを楽しめればそれで良し。

2016年7月9日土曜日

映画:『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』

※ややネタバレ注意

〜ストーリー〜
人類がエイリアンの襲撃を退けた「1996年の戦い」から20年。
外宇宙の敵の存在により人類は手を取り合い平和の時代を迎えるとともに、
エイリアンのテクノロジーにより科学技術を発展させ、来るべき戦いに備えていた。
しかし、墜落したエイリアンの宇宙船が密かに発信していたSOS信号により、
20年前よりもはるかに強大なパワーを持ったマザーシップが襲来。
再び地球を滅亡の危機に陥れる。
このままなす術なく滅びの時を迎えるかと思われた人類であったが、
そこに思いも寄らぬ味方が現れる…。

『ユニバーサル・ソルジャー』やあの悪名高き『GODZILLA』のローランド・エメリッヒが、
ウィル・スミスや『ジュラシック・パーク』『ザ・フライ』のジェフ・ゴールドブラムを迎え製作した『インデペンデンス・デイ』の20年越しの続編。
ジェフ・ゴールドブラムや大統領役のビル・プルマンらは続投し、
降板したウィル・スミスの代わりに『マイティ・ソー』シリーズのクリス・ヘムズワースの弟、リアム・ヘムズワースや、
脇役会一の名優ウィリアム・フィクナーらが主役を固める。

元々その御都合主義的な展開や、
アメリカ至上主義的なストーリーを批判されながらも、
1996年当時最高峰のSF技術となんだかんだで白熱するシーン満載のストーリーで大ヒットを飛ばした作品であったが、
今作は枚挙を挙げれば暇がないほど設定からストーリーから何もかもが酷過ぎる。
一例を挙げると、

○散々科学技術を発展させたのに一番苦戦させられたはずのバリア技術を全く研究していない馬鹿な人類。

○単なる赤外線でUFOの内部を事細かに観察できたくせに、とある理由による地球滅亡までのカウントダウンをたまたまUFOの近くにいたトレジャーハンターに任せるアホな人類。
↑おまけに何をどう計算したらそうなるのか、ずっと計測していたはずなのに土壇場になって5時間も計算をミスっていたというアホなトレジャーハンター。
↑それをサクッと受け入れるちきゅうぼうえいぐんの皆さん。

○重力を操り大都市を一瞬で壊滅させた力を地球に着陸する時にだけ使い、後はドンパチを繰り広げるだけの愚かなエイリアン。

○死ねば撤退を余儀なくされるほど重要な役割を持つ女王の危機をほったらかしにし、人間とドンパチ続けるやはり愚かな雑魚エイリアン。
↑女王が死んだところであと2分頑張れば地球を滅亡させられていたのに。
こんなものは序の口で、
とにかく思いついた展開を繋ぎ合わせただけとしか思えない酷いストーリー展開が延々続く。

アクションにしてもこの映画レベルのSFであれば、もはや幾らでも存在しており、
アクションシーンすら見せ場でなくなってしまった。
ウィル・スミスのように、
画面に映っているだけで映画を牽引していく力を持った大スター不在も痛い。
ただし、アンジェラベイビーだけはめちゃくちゃ可愛い。

前作は個人的には大好きであれやこれやの批判にも擁護してきただけに、
今作の出来は非常に残念。
実はさらなる続編を匂わせる終幕なのだが、
これならいらない。