2015年8月23日日曜日

小説:フランク・ティリエ『シンドロームE』

〜ストーリー〜
元恋人が失明に至った謎の短編映画を収めたフィルムを追うリューシー。
脳と目を摘出され殺害された5人の遺体の身元を追うシャルコ。
2人の刑事が追う2つの事件は、
シンドロームEという言葉をキーに交差し始める…。

フランスの作家フランク・ティリエの作品で、
2011年にハヤカワ文庫より出版されたスリラー。
それ以前に出版されている『死者の部屋』の主人公リューシーと、
『タルタロスの審問官』『七匹の蛾が鳴く』の主人公シャルコがW主人公として登場している。
いずれの作品も心に傷を負っている主人公が猟奇殺人を追うストーリーで、
人間の心の闇がテーマとなっている。
非常に暗い話が多いが意外な犯人などサスペンス作品としても読み応えのある作品ばかり。
本作はこれまでの著者の作品と比べると国や時代をも超える壮大なストーリーが展開されているが、
根底にあるテーマは変わらず、
先の読めない展開に思わずページをめくる手が止まらなくなる。
上に挙げた3作品を先に読むことをお勧めするが、
繋がりはほとんどないので独立した作品として読むことが可能。
また『GATACA』という続編があるが、
本作を最後まで読むとこちらも読まざるを得なくなる憎い構成をしている。

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