〜ストーリー〜
1950年代、日本。
腐敗した警察組織の中で頑なまでに正義を貫こうとする刑事・佐田は、
自分がすんでのところで取り逃がした殺人犯・小宮山喜和子の逮捕に異常とも言える執念を燃やしていた。
しかし、その捜査中に頭に負った傷により、彼の意識や記憶は時折欠落を見せていた。
ある日、殉職したとある刑事から、警察組織の腐敗を暴くメモを託された佐田は、
身内である刑事達から追われる身となってしまう。
時を同じくして彼の目の前に現れた伝説の情報屋・玉山。
彼は小宮山喜和子が持つとある情報を探しているという。
現実と虚構が入り混じる中、
佐田は小宮山喜和子に辿り着き、
事件の真相を暴く事ができるのか…?
『バンビ』『SOIL』のカネコアツシ最新作。全3巻で完結。
ドロドロとした50年代の闇の街の雰囲気と、
カネコアツシ独特のペンのタッチがとてもマッチしていて、
ストーリーのおどろおどろしさに迫力を加えている。
時間軸のズレや佐田が時折見る妄想が読む者に混乱を引き起こし、
それが続きを読みたくなる原動力となりいつの間にかストーリーにぐいぐい引き込まれてしまう。
ただ、繰り返しストーリーを読み直したり、
ある程度時間軸を自分で整理しながら読み進めないと、
一言で「よう分からん話」で済ませられる内容でもある。
好き嫌いはハッキリ分かれると思う。
オチについても複数の解釈の余地が残されている点からして、
映画で言うなら『マルホランド・ドライブ』や『メメント』なんかが好きな人はハマるかも。