『玩具修理者』
どんな壊れた玩具でも治してしまう男がいた。
弟を死なせてしまった「彼女」は、
その亡骸を抱えて玩具修理者の元に向かった…。
「彼女」が「わたし」に語る奇想天外な話は思いもよらぬ結末を迎える。
『酔歩する男』
ある日、血沼は居酒屋で小田という男と出会う。
血沼にはまったく覚えがなかったが、
小田は彼の事をよく知っていると言う。
やがて、小田の口からふたりとひとりの女の因縁が語られる…。
ホラー・SF・叙述トリックの鬼才・小林泰三のデビュー作かつ日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作と、
1編の長編を含む作品集。
著者お得意のグロ描写の緻密さは既にその片鱗を見せかけているが、
その後の作品と比べればそれほどキツいものではない。
最後のどんでん返しの衝撃は相当なもので、
叙述トリックとして読んでみても十分及第点に達している。
『酔歩する男』は時間と記憶をテーマとしたSF作品でありやや難解。