2015年8月27日木曜日

映画:『アイアンマン3』

〜ストーリー〜
『アベンジャーズ』の戦いから1年。
外敵の力に脅威を感じたスタークは寝食を忘れてスーツの研究に打ち込む内に重度のパニック症候群を患ってしまう。
そんな折に現れたテロリスト・マンダリン。
優れた身体能力と発熱能力を持つ兵士を擁するマンダリン一味との戦いに苦戦を強いられる中、
恋人ペッパーが敵の手に堕ちスタークは更なる窮地に追いやられる。

ロバート・ダウニーJr.最大の当たり役アイアンマンシリーズの第3弾。
グィネス・パルトロゥ、ドン・チードルら前作からの続投組に加え、
『メメント』『LAコンフィデンシャル』のガイ・ピアーズや名優ベン・キングスレーを敵役に迎えた豪華キャスト。
序盤で自宅が破壊されてしまい、
終盤までスタークがスーツを着て戦闘するシーンはほとんどなし。
遠隔操作できる新型スーツを利用した戦いや、
一部分のみスーツを着用した戦いなど、
スターク自身の生身の戦いがメインに描かれており、
ちょっとSF要素が強くてノリの軽い007シリーズといった感じになっている。
圧倒的な破壊力と機転の良さで敵と戦う前作までとは少々テイストが異なるので、
これを良しとするか悪しとするかだが、個人的には悪くはなかった。
一番エキサイトできたのは、
破壊されたエアフォースワンから飛び出してしまった人々をさながらスカイダイビングのように救出していくシーン。
こういうベタなのがヒーローっぽくて良い。
アベンジャーズシリーズに共通のエンドクレジット後のおまけシーンももちろん健在。
『アベンジャーズ2』を観た後だと、
遠隔操作型のアイアンマンの登場はウルトロン登場への伏線になっていた気がする。

2015年8月23日日曜日

映画:『キャビン』

〜ストーリー〜
森の奥の別荘にやって来たデイナら5人の大学生。
地下室で見つけた日記に書かれた文言を読み上げた瞬間、
地中から死者が蘇り彼らを次々と殺害していった。
だが、これはとある目的のため謎の組織がひ仕組まれたものだった…。

一見よくあるB級ホラーかと思いきや、
その全てをとある目的のために謎の組織がコントロールしていた…という異色のSFホラー。
『死霊のはらわた』『CUBE』『IT』『アナコンダ』『ヘルレイザー』など、
様々なホラー映画へのオマージュやモチーフが数多く登場。
西洋ホラー映画祭りとでもいうべき作品となっている。
(ちなみに、監督はアメコミヒーロー祭り『アベンジャーズ』のジョス・ウィードン。)
したがって、ホラーそのものを楽しむというよりかは、
ある程度ホラー映画を観ている人が半分コメディのような感覚で、
登場するホラー映画当てゲームを楽しむのが最も正解な見方。
「古きもの」なんて言葉でピンとくるものがある人ならストーリー中盤でオチも何となく読めると思う。
何よりこの映画で一番驚くのは、
最終盤で登場するとある女優と、
デイナを演じる佐藤かよ似のクリステン・コノリーが、
出演時点で32歳という年齢なのに女子大生にしか見えないという美魔女ぶりである。
また、大学生のひとりを『アベンジャーズ』のソー役ですっかりおなじみのクリス・ヘムズワースが演じている。
何も知らずに観ると「あ、昔はこんな端役をしてたのね」と思うかも知れないが、
本作の出演は『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』ですっかりスターの仲間入りした後である。

映画:『ロンドンゾンビ紀行』

〜ストーリー〜
育ててくれた祖父が入居する老人ホームの閉鎖を防ぐため、
銀行強盗を企てたテリーとアンディの兄弟。
無事200万ドルを手に入れ銀行を脱出すると、
街にはゾンビが溢れ出していた。
祖父を守るために兄弟は老人ホームへ向かう。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』にオマージュを捧げているというホラーコメディ。
グロシーンはほとんどなく、
ゆっくり動く定番のゾンビと足の悪いお爺ちゃんの追っかけっこや、
生前頭に鉄板を入れていたため倒せないゾンビなど、
ゆる〜い笑いが延々と続く。
原題は『Cockneys VS Zombies』。
訳すと『(下町の)イギリス人対ゾンビ』といった感じで、
当たり前だがこちらの方が邦題よりも映画の特徴を的確に表している。

小説:フランク・ティリエ『シンドロームE』

〜ストーリー〜
元恋人が失明に至った謎の短編映画を収めたフィルムを追うリューシー。
脳と目を摘出され殺害された5人の遺体の身元を追うシャルコ。
2人の刑事が追う2つの事件は、
シンドロームEという言葉をキーに交差し始める…。

フランスの作家フランク・ティリエの作品で、
2011年にハヤカワ文庫より出版されたスリラー。
それ以前に出版されている『死者の部屋』の主人公リューシーと、
『タルタロスの審問官』『七匹の蛾が鳴く』の主人公シャルコがW主人公として登場している。
いずれの作品も心に傷を負っている主人公が猟奇殺人を追うストーリーで、
人間の心の闇がテーマとなっている。
非常に暗い話が多いが意外な犯人などサスペンス作品としても読み応えのある作品ばかり。
本作はこれまでの著者の作品と比べると国や時代をも超える壮大なストーリーが展開されているが、
根底にあるテーマは変わらず、
先の読めない展開に思わずページをめくる手が止まらなくなる。
上に挙げた3作品を先に読むことをお勧めするが、
繋がりはほとんどないので独立した作品として読むことが可能。
また『GATACA』という続編があるが、
本作を最後まで読むとこちらも読まざるを得なくなる憎い構成をしている。