2016年11月2日水曜日

小説:アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』

〜ストーリー〜
人口の増加と環境破壊により、
全ての人類は階級により生活を制限される管理社会の中で、
宇宙開拓に発った人類の子孫であり優れた科学技術を持つ「宇宙人」や、
人の手から労働を奪ったロボットに対する鬱憤を募らせながら生きていた。
そんな中、ロボット工学の権威である宇宙人が何者かに殺害され、
地球人に容疑者がいるのではないかという嫌疑が掛けられる。
刑事であるベイリは、
見た目にはほとんど宇宙人と変わらないロボット・ダニールとコンビを組み捜査に当たるのだが…。

古典SF小説の代表者アイザック・アシモフの代表作のひとつ。
人類と宇宙人の一触即発の事態を引き起こしかねない殺人事件を担当する刑事と、
彼とコンビを組むほとんど人間にしか見えないロボットの活躍を描く。
人類と宇宙人の関係、
ロボットを毛嫌いする懐古主義者の暗躍、
あるいは、ロボット三原則に対する挑戦など、
スリリングな展開が続く一方、
主人公ベイリの的外れな推理やそれによる内省はどこか可笑しさも感じさせる。
本編に直接関係ないような描写も数多くあり、
若干の中だるみを感じなくもないが、
全体的にはサクサク読み進めることができる。
また、最後にダニールが起こす言動がとても印象的で、
アイザック・アシモフの他の作品を知っていると色々考えさせられる。