2015年10月21日水曜日

映画:『チャッピー』

〜ストーリー〜
ヨハネスブルグでは人型警察ロボットが導入され、
犯罪率の抑制に効果を上げていた。
開発者であるディオンは、
独自に構築した人工知能の導入を提案するが却下され、
廃棄寸前のロボットを自宅に持ち帰りプログラムをテストしようとする。
しかし、帰宅の途中でギャングの襲撃に遭い、
奪われたロボットはチャッピーと名付けられる。
廃棄寸前であったチャッピーの寿命であるバッテリーは5日分の残量しかなく、
チャッピーはギャングに生活の術を学びながら生き残る道を模索するが・・・。

『第9地区』『エリジウム』のニール・ブロムカンプ監督の最新作。
「南アフリカ」「近未来」「ギャング」「マイノリティー」というキーワードで、
『第9地区』との共通点を見出す事の出来る本作。
『第9地区』がアパルトヘイトを題材とし、
組織に追われる身となった男の孤独を緊迫感を持って描こうとしていたのに対し、
本作は人工知能を備え人と同じく心も成長するマシンを、
彼を取り巻く人々がそれぞれに導こうとしそれにチャッピーが苦悩するという、
青春映画にも通ずるような「心の成長」がテーマとなっている。
ただ、生後3〜4日でとある大発明を成し遂げるほど知性のあるチャッピーの精神年齢がいつまでも子どもであるなど、
SF映画としては色々と矛盾してしまっている点がどうしても引っかかってしまう。
アクションシーンも終盤に固まっているため、
アクション映画として楽しもうとすると肩透かしを食らう可能性がある。

映画:『シグナル』

〜ストーリー〜
MITの学生であるニックとジョナは、
ノーマッドという人物からハッキングと挑発を受けていた。
IPアドレスからノーマッドの居場所を突き止めたニックたちは、
恋人のヘイリーを連れてネバダにある廃屋に足を踏み入れる。
だが、気がつくと彼らは謎の組織に捕らわれ、
宇宙人と接触した事による感染症の疑いから施設に幽閉されてしまう。

若手俳優ウィリアム・ユーバンクと、
『マトリックス』シリーズのローレンス・フィッシュバーン主演のSFスリラー。
画面は美しいのだが、
とにかく説明不足のまま最後まで突っ走るうえに、
かったるい演出で話が遅々として進まない非常に退屈な作品。
考える余地を多分に含んだ作品と評価する声もあるようだが、
思考停止に陥っていたとしか思えないほど適当に継接ぎしたような酷いストーリーだった。

2015年10月19日月曜日

映画:『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』

〜ストーリー〜
突如死者が蘇り人間を襲い始めた。
テレビで、ウェブで、様々な情報が錯綜する中、
映画を撮影していた大学生一行は真実を残しためにビデオカメラを回し続けるのだが…。

ジョージ・A・ロメロによる2008年公開のゾンビ映画。
最近では何も珍しくないPOV形式のホラーだが、
それを更に編集してひとつの映像作品に仕立てたというフェイクドキュメンタリー形式を取っている。
しかし、それがどうしかしたのかと思うほど退屈で何の深みもない映画だった。
最後にゾンビで遊ぶ人間の映像が流れ人類がどうたらこうたらと講釈を垂れているが、
ストーリーとは関係がない全くの蛇足でむしろ無い方が良かったのではないかとさえ思う。

映画:『ジョン・ウィック』

〜ストーリー〜
ロシアンマフィア・ヴィゴの元で凄腕の暗殺者として名を馳せていたジョン・ウィック。
絶対不可能な任務の成功と引き替えに愛する女性ヘレンとの穏やかな生活を手に入れた彼であったが、
ヘレンが病により帰らぬ人となり失意のどん底に陥る。
彼女が遺した1匹の子犬と共に静かな生活を送ろうと決意したのも束の間、
彼の愛車を狙っていた若者らに自宅に押し入られ車と子犬の両方を失ってしまう。
その犯人がヴィゴの息子ヨゼフだったことを知ったジョンは、
復讐の炎を滾らせながらヴィゴ一味との戦いに身を投じる。

ここの所作品も私生活もパッとしないと言われていたキアヌ・リーブスが、
マトリックス以来のキレキレのアクションと共に復活したと話題のアクションムービー。
生きる希望を奪われた元伝説の殺し屋が、
カンフーと銃技を組み合わせた「ガン・フー」を駆使し単身マフィアに立ち向かう姿が描かれる。
動きはスタイリッシュながらも、
血みどろの泥臭いアクションを全編を通して堪能できる。
それだけの作品と言えばそこまでなのだが、
如何せん子犬が可愛過ぎてそれだけでジョンの行動に説得力を持たせてしまっているのが本作の一番恐ろしいところである。
女殺し屋が必要だったのかは大いに疑問の残るところで、
彼女の登場シーンを削ってヘレンや子犬との交流を描いた方が物語に深みが生まれた気はする。
『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で敵役を演じたミカエル・ミクヴィストを始め、
ウィリアム・デフォー、ジョン・レグイザモら渋いキャスティングも光る。