2015年9月22日火曜日

映画:『ナイトクローラー』

〜ストーリー〜
定職に就くことができず、
コソ泥をしながら自堕落な生活を送るルー。
ある日、彼は偶然居合わせた交通事故の現場で、
その様子を撮影する男達ー事件や事故専門のパパラッチに遭遇する。
撮影用のカメラとアシスタントを手に入れたルーはやがてメキメキと頭角を現し、次々と特ダネを飛ばす。
しかし、その取材はやがて超えてはならない一線を超え始め…。

ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ主演。
事件・事故専門のパパラッチとなった青年が、
業界のルールも法も無視した常軌を逸する取材で成り上がっていく姿をスリリングに描いたスリラー映画。
このテの映画にありがちなマスコミ・パパラッチあるいは一般大衆批判には目もくれず、
ひとりの青年の狂気とそれを助長するテレビディレクターとの「共犯関係」をひたすら描いている。
この点ではクライムムービーという見方さえ出来ると思う。
勧善懲悪ストーリーではないので、
主人公が犯した罪が裁かれることもなく、
人によってはモヤモヤした思いを抱えたまま鑑賞を終える事になるだろう。
それでも常に画面上を漂う緊張感と、
ジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技で最後まで引っ張ってくれる見応えのある作品。

映画:『アントマン』

〜ストーリー〜
SHIELDのハンク・ピム博士は、
原子間の距離を変化させ万物を拡大・縮小させるピム粒子と、
それを制御するスーツを開発する。
だが、その軍事転用を防ぐためSHIELDを退職。
会社を設立し技術とスーツを封印することを決意する。
彼の弟子であったクロスは、独自にピム粒子の研究を続け、
数年後、イェロージャケットを完成させる。
これを危険視したピム博士は、
窃盗の罪により生活と愛する娘との関係に困っていたスコットをスカウト。
彼にスーツと蟻を操る装置を与え、
アントマンとしてイェロージャケットの奪還を指示する。

マーベルシネマティックユニバースフェーズ2の最終作として公開され、
近日公開予定の『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』にも登場予定のアントマンを主人公とした作品。
ほかのアベンジャーズ関連作品の1作目同様、
ヒーローが生まれるまでの過程とトレーニングが中心の作品だが、
主人公スコットと娘キャシーの関係と、
ピム博士とその娘ホープの関係をクロスさせたドラマパートに力が入れられている。
また、他の純然たるヒーローを描いた作品と比べると、
主人公が元窃盗犯であったり、
平和のためではあるが侵入と窃盗が目的となっている点で異色の作品となっている。
サブキャラもいい味を出しておりアクションシーンにおいてもコミカルなシーンが多く、
親子で安心して楽しく観られるような作りとなっている。
もちろん、他シリーズとの関連を持たせる要素もふんだんにあり、
アベンジャーズの一員であるファルコンとのアクションシーンや、
シビルウォーのキーキャラクターのひとりであるとあるヒーローの登場シーンもあり、
これまでアベンジャーズシリーズを観てきた人なら更に楽しめる趣向もある。
また、アントマン原作からは、
イェロージャケットの他に今後ヒロイン・ワスプの登場を示唆するシーンもある。
ただし、蟻が嫌いな人はトラウマになるほど画面所狭しと登場するので注意。
主人公スコットを『40歳の童貞男』などのポール・ラッド、
また、ピム博士を名優マイケル・ダグラスが演じている。

2015年9月21日月曜日

映画:『キングスマン』

〜ストーリー〜
表向きはスーツの仕立屋として、
あらゆる国際機関から独立し諜報活動を行うスパイ組織「キングスマン」。
要人誘拐事件を追っていたメンバーのひとりが殺害された事から、
捜査の引継と新たなメンバーのスカウトを命じられたハリーは、
かつて命を賭して彼を危機から救ってくれた同僚の息子エグジーをスカウトする。

『キック・アス』のマシュー・ボーン監督が、
新鋭の俳優タロン・エガートを始め、
コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ケインら豪華キャストを迎え製作したスパイアクションムービー。
「英国紳士のスパイ」というのを新機軸に打ち立てようとしているのだが、
全体的には暴力的だったり粗暴な人間の出てくるシーンが多くそれほどスマートな印象は受けない。
むしろサミュエル・L・ジャクソンらの登場する極彩色豊かなシーンの方が印象が強く、
ノリ的には『チャーリーズ・エンジェル』に近い気がした。
それは、アクロバティックな動きやスローモーションを多用するアクションシーンという点でも共通しているし、
その中でも敵のボス・ヴァレンタインの義足の秘書の変則的な動きと強さは、
チャリエンの「細い男」とほとんど被って見える。
(とは言え、別にパクリ映画として糾弾したい訳ではない)
ストーリーはスパイものとひとりの青年の成長譚をミックスした可も不可もないもので、アクションシーンは多め。
決して退屈な映画ではないので、
上述のチャリエンや『キック・アス』が好きな人なら同様に楽しめるのではないか。
続編の製作が決定しているらしく、
次回作は世界観の説明が不要になる分、
さらにアクションで楽しませてくれる作品となることを期待したい。