2015年8月15日土曜日

映画:『グランド・イリュージョン』

〜ストーリー〜
謎の人物に集められた4人のマジシャン。
彼らはフォー・ホースメンと称してラスベガスでマジックショーを開催。
そこで、遠く離れたパリの銀行の倉庫から3百万ドルを盗み出す。
FBIのローズはインターポールのアルマと共に捜査にあたるが彼らの尻尾を掴む事ができず、
マジシャンの種明かしを生業とするサディアスに協力を依頼する。

『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグや、
『お買い物中毒な私!』のアイラ・フィッシャー、
『アベンジャーズ』シリーズでハルクを演じるマーク・ラファロをはじめ、
ウディ・ハレルソン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマンら豪華キャストが集結したサスペンスアクション。
フォー・ホースメンがド派手なトリックで観客を楽しませながらFBIを翻弄する姿は爽快なもので、単純に視覚的にも楽しい。
無駄のないシナリオで中弛みがなく、
事件の意外な真相もそれなりにインパクトがあり、
初めから終わりまで飽きずに鑑賞できる。
細かい所をツッコミだしたらキリがなくなるが、
そういうディテールには目を閉じて。
正統派のエンターテイメント作品という感じを受けた。

映画:『プリズナーズ』

〜ストーリー〜
ペンシルヴァニアで工務店を営むドーバーは、
家族と隣家のバーチ一家と共にサンクスギビングデーを楽しんでいたが、
その最中、ドーバーの娘・アナとバーチの娘・ジョイが行方不明となってしまう。
すぐさま容疑者としてアレックスという青年が浮上するが、証拠不十分で釈放となる。
しかし、アレックスの何気ない一言で彼を犯人と確信したドーバーは、
自白を引き出そうとアレックスを監禁し拷問にかける。
その頃、事件を担当するロキ刑事は、
ふたりの無事を祈るキャンドルナイトで不審な男を目撃。
尋問を試みるが男はロキの追跡を振り切り逃走してしまう。
果たしてふたりの少女を誘拐したのは…?

ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール主演。
二転三転する先の読めない展開を、
被害者と加害者両方の立場から、娘の誘拐の被疑者や事件を担当する刑事とのスリリングな駆け引きがストーリーの面白さを加速させる、
見応えのあるサスペンス映画。
一見バラバラに見える一つ一つの事象が実は伏線であり、
事件の真相が明らかになるにつれ収斂されていく構成もお見事。
ただ、「愛する者を助けるためならたとえ犯罪にも手を染めるのか?」
というテーマを、
ヒュー・ジャックマン扮する元々善良であった市民が理性を失っていく様子を描くことで観客に突き付けようとしているようだが、
ここだけはイマイチ乗り切れなかった。
元々堅物過ぎて何かヤバそうな雰囲気を出している親父だったので、
こうなる事が至極当然の事のように受け入れられてしまううえ、
監禁や拷問があまりにも”やり過ぎ”でまったく共感できなかったのが原因。
狂気に陥った親父を演じるヒュー・ジャックマンはさる事ながら、
狂った親父に監禁される10歳児並みのIQしかない男アレックスを演じるポール・ダノの演技がすごい。

2015年8月14日金曜日

映画:『ピラミッドの呪い』

〜ストーリー〜
2013年、エジプト。
カイロで反政府デモの嵐が吹き荒れる中、
アメリカの考古学チームが地中に埋もれた三角錐のピラミッドを発見する。
そのドキュメント映像を撮影にやって来たテレビクルーと考古学チームは、
ピラミッドの内部へ進入するがそこで謎の生物の襲撃に遭う…。

原題は『The Pyramid』、邦題は『ピラミッドの呪い』というストレートなピラミッドもの映画。
最近流行りのPOVが8割、第三者視点が2割という中途半端な構成。
これだけでなく、設定・ストーリー、CGに至るまで何もかもが中途半端な作品。
おまけに、ひたすら画面が暗いのでほとんど何が起きているのか分かりにくく、
POVである事がそれに拍車をかける。
唯一良い点を挙げるとすれば、
ピラミッド映画では定石のミイラやスカラベを使用せずに観客へ恐怖を与えようという挑戦的な姿勢だが、
代わりに大層なものが出てくる訳ではない。
ちなみに、呪いらしい呪いも出てきません。
この作品にお金を支払うくらいなら、
ハムナプトラでも買うか借りるかした方が良い。

2015年8月12日水曜日

映画:『デッド・サイレンス』

〜ストーリー〜
故郷を離れ幸せな生活を送るジェイミーとリサ。
ある日、二人の元に差出人不明の操り人形が送られてくる。
その夜、夕食の買い出しから戻ってきたジェイミーが目にしたのは、
舌を抜かれ殺害されたリサの無残な姿だった。
故郷に伝わる腹話術師の伝承に犯人を探るヒントがあると考えたジェイミーは生まれ故郷へ車を走らせるが、
彼の周囲で次々と怪奇現象が起こり始める。

『ソウ』のジェームズ・ワンとリー・ワネルが2007年に製作したホラー映画。
とある女腹話術師と彼女が残した操り人形を巡る呪いの連鎖を断ち切るべく奔走する男のストーリー。
全体的に静かでダークなトーンでストーリーが進む中、
表情のない操り人形それだけでなかなかの雰囲気を醸し出しているが、
それが100体も並んでいるシーンはかなりのインパクトがある。
こけ脅しがない訳ではないが、
来るぞー!と分かるタイミングできちんと驚かせにくるので、
それほど心臓に悪い作品でもない。
真相が明かされるシーンでは、
ジェームズ・ワン、リー・ワネルお得意の高速伏線プレイバック→どんでん返しも堪能できる。
特別に面白いかと言われるとそうとは言い切れないが、
欠点らしい欠点もない”ど真ん中”なホラー作品。

2015年8月11日火曜日

映画:『ジュラシック・ワールド』

〜ストーリー〜
ザックとグレイの兄弟は、
両親が離婚調停を行う1週間の間、
叔母のクレアが勤めるジュラシック・ワールドに送られることとなった。
ジュラシック・パークでの事件から22年。
インジェン社を買収したマスラニ社は、
ジュラシック・パーク事業を引き継ぎジュラシック・ワールドを開園し、
1日に2万人もの集客を誇る人気を博していた。
更なる顧客満足度の向上とスポンサー集めのため、 
クレアはTレックスをベースに遺伝子操作を施し、
高度な知能と凶暴性を併せ持つ新種インドミナス・レックスを生み出したが、
ある日、インドミナス・レックスが檻から脱走。
これを機に園内のシステムは破綻をきたし、
2万人の来園者に命の危険が及ぶこととなる…。

2001年の3の公開から14年の年月を経て公開された『ジュラシック・パーク』シリーズ最新作。
今作も製作総指揮をスティーヴン・スピルバーグが勤め、
主演に『ガーディアンズオブギャラクシー』のクリス・プラットと、
『ターミネーター4』でケイト・コナーを演じたブライス・ダラス・ハワード。
シリーズを追うごとに失速する本シリーズだが、
遺伝子操作によって生み出された何でもアリの新種を登場させた事で、
いよいよジュラシック・パークというタイトルを借りただけの怪獣映画に成り下がってしまった。
それだけならまだしも、とにかくシリーズの伝統を崩す設定やストーリーのほころびのオンパレードとなっている。
○シリーズ全作を通じて緊迫感あるシーンを提供してくれたヴェロキラプトルを手懐けるという厨二病的設定。
○恐竜の位置を把握するのにGPSよりも目視を優先する無能な運営陣。
○建物の壁をやすやすと突き破る恐竜がいるのに、プテラノドンの群れに襲撃された後扉もない建物に避難しこれでエンディングまで安全を確保された来園者たち。
などなど挙げれば枚挙に暇がない。
Tレックスの圧倒的な存在感も、
迫り来るヴェロキラプトルの恐怖感も、
最新の恐竜に関する知見も得られない、
単なる怪獣大暴れ映画となってしまい非常に残念。
一見さんならそれなりに楽しめるだろうが、
シリーズに思い入れのある人ほどつまらなく感じるのでは。

映画:『ジュピター』

〜ストーリー〜
ロシアに生まれ、
アメリカの親戚の元で掃除婦として退屈な日々を送るジュピター。
ある日、とある病院で謎のエイリアンに襲撃されたところを、
ケインと名乗る男に助けられる。
ジュピターは宇宙を支配するアブラサクス家の母の生まれ変わりであり、
彼女の存在により3人の子どもの王位継承争いが勃発しているという。
ジュピターは地球、宇宙の秘密に関わる戦いに巻き込まれていく…。

『マトリックス』のウォシャウスキー姉弟監督、
主演に『ブラック・スワン』で主人公のライバルを演じたミラ・クニスと、
『G.I.ジョー』シリーズのチャニング・テイタムを迎え製作されたスペースオペラ。
様々な要素を散りばめるだけ散りばめて、
それらを全く活かしきれていない。
ヒロインが宇宙を支配する名家の人物の生まれ変わりであるというそもそもの設定すら必要かと思うほど。
アクションにそれほどの尺を割いている訳でもなく、
かと言ってドラマパートも陳腐だし、
完全に吊り橋効果だけで恋に陥る主人公たちの微妙な恋愛関係も退屈。
特殊効果についても特筆すべき点はなく、
むしろいくらSFアクションだからって音響が軽過ぎるだろうと思う。

2015年8月10日月曜日

映画:『トランセンデンス』

〜ストーリー〜
人工知能分野の第一人者であるウィルとエヴリンは、
独自に構築した人工知能PINNで機械が人間の知能を超える特異点を目指し、
日々研究に勤しんでいた。
ある日、ウィルはハイテクノロジーからの脱却を主張するテロ組織「RIFT」の銃弾に倒れる。
エヴリンはPINNにウィルの脳内データをコピーし、
ウィルを人工知能として復活させる事に成功する。
インターネットに接続されたウィルは、
ありとあらゆるシステムにアクセス、
さらにナノマシンにより人間や物質の構成をも可能とするまでに力を増大した。
これを危険視したFBIやかつての研究仲間たちは、
RIFTを利用しウィルの消去を試みるが…。

ジョニー・デップ主演のSF作品。
製作にダークナイトシリーズのクリストファー・ノーランが名を連ねる。
行き過ぎたテクノロジーへの警鐘がテーマだとは思うのだが、
AIとなったウィルを取り巻く人間模様を見せたかったのか、
AIと人との間に愛が成り立つのかを見せたかったのか、
はたまたSFアクションにしたかったのかなどなど、
見せ方にまとまりを欠いた何を伝えたいのか分からない作品という印象を受けた。
せっかくモーガン・フリーマンも出演しているのに、
中途半端な扱いで役柄に必要性を感じさせない。

2015年8月9日日曜日

映画:『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

〜ストーリー〜
正体不明の犯罪組織「シンジケート」を追っていたIMFのイーサン・ハントは、
罠にかかりシンジケートに拘束されてしまうが、
謎の美女イルサに助けられ脱出に成功する。
時を同じくして、CIA長官アランにより、
無謀な捜査方法を問題視されたIMFは解体されCIAに吸収されることとなり、
所在不明のイーサンは国際指名手配を受けることとなる。
孤立無援の中、イーサンは自分が信頼を置く仲間と共にシンジケートを壊滅すべく独自に捜査を続けるが…。

『ミッション:インポッシブル』シリーズ5作目。
お馴染みのテーマ曲、
お馴染みのメンバー、
お馴染みのマスク、
作品を重ねるごとに超人さを増すイーサンとそれに比例して派手になるアクション。
これを楽しめない人はハナからノーセンキュー。
そうは言いつつも、相手の裏を掻いたり騙し合うような"頭脳戦"が結構多く、
また、一切の余分なものを省きその分アクションを詰め込んだようなストーリー構成になっており、
単なるお気楽なアクションとは違うそれなりに見応えのある作品に仕上がっている。
まさに夏の娯楽大作といった感じ。
CIA長官を演じる名優アレック・ボールドウィンが映画全体に対するアクセントになっている。