2016年7月23日土曜日

映画:『オープン・グレイヴ 感染』

〜ストーリー〜
目覚めた男の周りには死体の山があった。
記憶喪失に陥っていた彼が森の中をさまよっていると、
同じく記憶をなくした者同士が集まる家があった。
彼らはなぜそこに集められたのか?
信用できる人物は誰なのか疑心暗鬼になりながらも、
記憶を取り戻すために家の外に足を踏み出した彼らが見たのは、
森のあちこちに設置された人間の遺体と、
雄叫びを上げながら彼らに襲いかかる狂人たちの姿だった。

『第9地区』『マレフィセント』のシャールト・コプリー主演のホラー作品。
ゾンビ映画の覇権を奪いつつある"感染者もの映画"なのだが、
そこに登場人物全員が記憶喪失という設定が入り、
記憶を取り戻すために主人公たちが謎に満ちた森を奔走するというサスペンス的な要素もある。
約1時間40分の上映時間の内ラスト10分になるまで、
断片的な情報と時折感染者が現れるだけで何の盛り上がりもなく、
あとは登場人物たちがいがみ合うだけの時間が続く。
誰一人まともな人間がいないので何の感情移入もできず非常に退屈。
そして、終了10分前に至る頃、主人公らは突然記憶を取り戻し、
たった数行のセリフだけで事件の真相をすべて語って映画は完結する。
最初と感染者が出るシーンと最後だけ観れば十分の駄作。

2016年7月20日水曜日

映画:『キック・アス』

〜ストーリー〜
冴えない学生デイヴはスーパーヒーローに憧れ、
ネットで買った安物のスーツを身に付けキック・アスと名乗り夜な夜な街に繰り出すようになった。
ある日、彼の動画がネットに公開され瞬く間に人気者となった彼だったが、
ひょんな事から残酷なマフィアであるフランク・ダミーコに命を狙われる事となる。
ダミーコに恨みを持つマクレイディ父娘は彼の人気に便乗し、
ビッグ・ダディ、ヒット・ガールというヒーローに扮しダミーコとの戦いに身を投じる。

クロエ・モレッツが下ネタを吐きながらド派手な殺戮を繰り出す姿が、
世界のドMなロリコンのみならず老若男女のハートを虜にしたアメコミ原作のアクション映画。
ヒット・ガールがこの映画の全てであり、
予告や作品紹介を見て面白そうと感じた人なら確実に楽しめるし、
そうでないなら決して鑑賞はオススメしない。
平凡な少年がある日突然〜というストーリーはありきたりだし、
やや残酷な無双系アクションも『リベリオン』『ウォンテッド』などでさんざんやり尽くされているもの。
クロエ・モレッツのヒット・ガールは確かに可愛らしくキャラが立ってもいるが、
良くも悪くもその存在だけで引っ張っている作品。
本作の主人公キック・アスを演じたアーロン・ジョンソンが、
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクイックシルバーだったことが個人的に一番の衝撃。

2016年7月18日月曜日

映画:『ブラック・スキャンダル』

〜ストーリー〜
FBI捜査官のコノリーは、
生まれ育ったボストンに勢力を伸ばしつつあるイタリア系マフィア殲滅のため、
地元サウシーのギャングの首領であり幼馴染であるバルジャーに、
情報提供の代わりに彼の犯罪を見逃すという協定を持ち掛ける。
バルジャーの弟で国会議員でもあるビリーは、
そんなふたりの様子を見て見ぬ振りをしつつ、
ふたりとはまた異なる道を進んでゆくのだが…。

ジョニー・デップ、ベネディクト・カンバーバッチ主演の、
実在のマフィアとFBIとの汚職事件を題材にしたクライムサスペンス。
宣伝ではマフィア・FBI・国会議員が手を組んだ汚職スキャンダルを映画化!などと銘打ち、
ド派手な映画である印象を与えていたが、とんでもない。
アホなFBI捜査官がマフィアに良いように扱われる様を描いただけのノンフィクション映画であり、
全体的に暗くてじめーっとした空気が漂う退屈な映画だった。
単なるチンピラに近かったギャングがいかにしてのし上がっていったのかという実録映画的な要素もあるが、
ほとんどナレーションや第三者のセリフだけで物事が進んでいくので、
バルジャーへの感情移入もしにくい。
家族関係もあっさりなので、
もはやベネディクト・カンバーバッチ演じる兄の存在すら必要だったのか疑問に思う。
ジョニー・デップはさすがの怪演というところだが、
同じハゲキャラなら『ラスベガスをぶっ飛ばせ』の方がキレッキレ。

漫画:『シークレット・インベーション』

〜ストーリー〜
日本で起きた忍者集団ハンドの蜂起。
その首謀者であったエレクトラは、
実はスクラル星人が変身した姿であった。
これをきっかけに、ヒーローの中に変身したスクラル星人がいることが発覚。
さらに、時を同じくしてスクラル星人の侵攻が始まった。
誰が本当の味方で誰が敵なのか、
疑心暗鬼の中、ヒーロー達はスクラル星人との戦いに挑む。

ヒーロー同士の戦いを描いた『シビル・ウォー』と、
その直後のキャプテン・アメリカ新シリーズに続く、
一大クロスオーバー作品。
地球侵略を狙うスクラル星人がヒーローとして人々の間に紛れ込み、
ヒーローに関わるあらゆる事件の裏で手を引いていたことが発覚するという衝撃の作品。
さらに、本作のラストは新シリーズ『ダークレイン』(これまでのヒーローに代わり本作で活躍したグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンらが国家や地球の防衛を任されるようになる作品群)へと繋がっていく。
本作に至るまでのストーリーは原作を読むしかないので、
英語が得意でない限り事件の背景を理解するには解説に頼らざるを得ないところが難点だが、
そこは飲み込んでマーベルヒーロー達の活躍と細かく描き込まれた美しいグラフィックを楽しめればそれで良し。