エミリーは郊外の屋敷でひとり慎ましく生きていた。
ある日、シルヴィアと名乗る女の声が屋敷に響いた。
彼女は霊媒師で、屋敷に取り憑いているエミリーを成仏させるためにやって来たという…。
ニコール・キッドマンの『アザーズ』は、
実は私らの方が幽霊でしたぁというオチだったが、
本作は割と早い段階で自分が幽霊であることに気付き、
成仏できない原因を姿の見えない霊媒師と探っていくという変わったストーリーの映画である。
この映画の世界の幽霊は何パターンかの1日を毎日繰り返すという設定のようで、
中盤まで似たようなシーンが何度も何度もリピートされ、正直退屈になる。
ただ、ここを我慢しないと後半の怒濤の展開の意味が分からなくなってしまう。
こういった設定・ストーリーもさることながら、演出も斬新過ぎる。
まず、基本として角丸の長方形の中に映像が流れる。
屋敷内のほぼ定点化された位置から撮影されており、特に前半はパンもチルトもズームもほとんどない。
音楽も本当に最低限だけ。
まるでカラーになったヌーヴェルヴァーグか、
ヨーロッパの実験映画でも観ているかの気分になる。
ひたすら斬新。