元傭兵のウェイドは全身を癌に蝕まれ余命宣告を受ける。
癌を治癒しさらに特殊な力を与えるという男の誘いに乗り、
恋人ヴァネッサを残し謎の組織の元に赴いた彼であったが、
そこでは人間をミュータントに変えるための非人道的な人体実験が行われていた。
火傷のように爛れた皮膚と引き換えに、
優れた身体能力と超再生能力ヒーリング・ファクターを得たウェイドは、
咄嗟の機転を利かし組織から脱出することに成功する。
復讐に燃えるウェイドはデッドプールと名乗り、
組織のリーダー・フランシスへの復讐を誓う。
マーベルコミックのヒーローのひとり、デッドプールの実写映画。
ウルヴァリンと同じヒーリング・ファクターを持ち、
お喋り、下品、いい加減というおよそヒーローらしくない性格をしたキャラクターだが、
一番の特徴は「第四の壁」を乗り越える能力、
つまり、自分が物語の登場人物であることを理解しているという点。
初出はX-MENのヴィランとしての登場だが、
上記の性格ゆえ、ヒーローの味方になったり敵になったり、
自分の都合に合わせてその立ち位置をコロコロと変える。
上記のキャラクターを理解しているか、
おバカ映画と割り切るかしなければ、
頭のおかしなマスク男が主人公で、
お下劣ネタ満載のちょっと派手なアクション映画くらいの認識しか持たれない可能性がある。
これに拍車をかけるのがメタネタの数々。
主演のライアン・レイノルズはかつて『X-MEN ZERO』でもデッドプールを演じているが、
あまりのキャラクター破壊に原作ファンから顰蹙を買ったことがある。
そんな過去を揶揄するかのようなネタがあったと思ったら、
彼が主演したDCコミックの『グリーン・ランタン』までネタにしてしまっている。
パンフレット読むまでそんなこと忘れてたよ…。
マーベル映画ではお馴染みのエンドロール後のおまけシーンは健在。
コミカルなシーンに仕上がっているので最後まで観て欲しい。
続編の存在を匂わせ、
デッドプールと縁の深いX-MENのとある一員の名前が出てくる。
のだが、X-MENの原作かアニメでも見てない限り誰も知らないであろうキャラなので盛り上がりには欠けるかも。
総じて、
お気楽アクションムービーと割り切るか、
マーベルコミックの原作に多少なりとも慣れ親しんでいる人なら楽しめるであろう作品。