『トータル・リコール』
妻から呆れられるほど火星に憧れを持つクウェールは、
脳内に偽の記憶を移植し一生の思い出を植え付けるというサービスを提供するリカル株式会社を訪れる。
自分が国家組織の一員で火星に秘密の任務に就いていたという記憶を植え付けようとしたクウェールだったが、
彼の脳内にはとある秘密が隠されていた…。
『マイノリティ・リポート』
未来予知能力を持つミュータント・プリコグの力で犯罪を予見し防止する犯罪予防局の長官アンダートン。
引退が間近に迫ったある日、
自分が見知らぬ男を殺害するとの予知がなされたアンダートンは、
未来の無実を証明するため、
公認候補であるウィットワーらの追跡を退けながら、
プリコグの真実に迫ろうと奔走する。
サイバーパンクの開祖、フィリップ・K・ディックによる作品を集めた2012年に発行の電子書籍。
シュワちゃん主演で実写化された表題作『トータル・リコール』や、
同じくトム・クルーズ主演で映像化された『マイノリティ・リポート』の原作を含む、10編の短編集。
映画の『トータル・リコール』は変態監督ポール・バーホーベンの悪趣味全開のSFアクションに仕上がっていたが、
原作はとある男の記憶を巡るサスペンスのテイストが強い(間違っても目ん玉ビヨーンなんてシーンはない)。
いずれの作品も社会や世界、宇宙、あるいは、
テクノロジーが進んだ世界における人間の在り方を追究・描写しながら、
エンターテイメント性にも富み、
さらにあっと驚く結末が用意されている(多分そういう作品ばかり集めたのだと思うが…)。
1950〜70年代に発表された作品が収録されているが、
古臭さもまったく感じられない。
短編集ということもあってサクッと読めるため、
SF映画ファンならぜひ購読をオススメしたい。