〜ストーリー〜
東京湾に突如巨大生物が現れた。
ゴジラと名付けられたその生物は、
驚異的なスピードで進化し東京を瞬く間に火の海と化した。
アメリカを中心とした国連軍による核攻撃のカウントダウンが迫る中、
若き内閣副官房長官・矢口らを中心としたチームは、
ゴジラの脅威のみならず日本とその首都である東京、国民を救うべく、
最終作戦ヤシオリ作戦を実行に移す。
庵野秀明と樋口真嗣がタッグを組み製作された、
12年ぶりの純和製ゴジラ映画。
現代の日本にゴジラが出現した時にどのような事態が想定されるのかが政府の視点を中心に、
一切の無駄を省いたものすごいスピード感で展開されていく。
ゴジラが登場するシーンは意外と少なく、
政府の会議や自衛隊の作戦会議がストーリーの多くを占めるにも関わらず、
中弛みもなく最後まで鑑賞できるのはテンポの良さに負うところが非常に大きい。
また、全身全霊をかけてゴジラに立ち向かう関係者の姿は非常に胸熱。
ちなみに、一部の左寄りな人が批判している、
政府や自衛隊のプロパガンダだ!とか、
憲法9条を馬鹿にした映画だ!などという観点は、
普通に鑑賞する限り微塵も感じられないのでご安心を。
登場する兵器はほぼ全て自衛隊装備準拠らしく、
メカゴジラやモゲラはおろか、
ゴジラファンにはお馴染みの轟天号やスーパーX、オキシジェンデストロイヤーのような超兵器も一切登場しない。
普通の兵器じゃだめだ→もうちょい強い兵器なら多少効いたぞ→じゃあこの作戦でゴジラをやっつけよう!という組み立てに無理がない。
かつて量産された「プロレスゴジラ」を好きな人には物足りないかも知れないが、
基本的には「現実(ニッポン)vs虚構(ゴジラ)」という映画のキャッチコピー通り、
骨太なゴジラを楽しめると思う。
さて、肝心の主役ゴジラだが、
色々なかたちで期待を裏切られる。
まず、初回出現時は無茶苦茶しょぼい。
昭和のウルトラ怪獣と見紛うような着ぐるみ感全開の顔立ちをしている。
おまけに陸上に完全に適応できていない足の生えた巨大肺魚という扱いなので、
進路を豪勢に破壊しながらもモタモタ進軍する様はどこかコミカル。
そして、一度海に帰った後、
ようやく従来のフォルムとこれまでで最も凶悪な表情をしたいつものゴジラが再び姿を現す。
ところが、ここでもう一つ違和感を感じる。
圧倒的なパワーを持ちながら自衛隊の攻撃により多少ピンチに陥ったにも関わらず、必殺の放射線を吐かない。
あー、そこは現実に即して飛び道具を使わない生物としてのゴジラを打ち出しているのか…。
と思った矢先、
都心に到達したゴジラはいきなり口から紫色の放射線を放ったかと思うと、
さらに背中からも幾本ものレーザービームをぶっ放し、あっという間に東京を火の海に。
こんなのゴジラありか!?と度肝を抜かされるシーンなのだが、
それまでのストーリーや設定の積み上げがあるため、
ギリギリ許容範囲内、
ゴジラのパワーを再認識させられることになる。
この夜空に走る放射線と燃え盛る東京、そして、そこに佇むゴジラという中盤のこのシーンはまさに圧巻の一言、劇中屈指の名場面となっている。
(エヴァンゲリオンを観たことのある人なら、
ここでラミエル戦を思い出すこと必至)
ちなみに、最終戦では尻尾の先からもレーザービームが…。
総じて満足度は高い。
強いて難点を挙げると、
まったく子ども向きではないので、
夏休みに家族で映画を楽しみたいという方はドリーでもどうぞ。