2013年6月8日土曜日

映画:『キック・オーバー』

~ストーリー~
マフィアの金を強奪しメキシコに逃亡しようとしたドライバーは運悪く逮捕されてしまい、
エル・プエブリートという監獄に収監される。
そこは監獄でありながら一つの町を形作っており、
金さえあればどんな自由も手に入る無法地帯と化していた。
やがて、彼が隠した金の在り処を暴こうと、
マフィアやギャング、彼を逮捕した悪徳警官達が次々と襲いかかる。
その頃、ドライバーはひとりの少年と出会う。
その少年にはとある秘密が隠されていたのだが…。

監督作『パッション』で物議を醸して以来、
何となくパッとしないメル・ギブソンが、
俳優生活35周年目に主演したアクション映画。
『ペイ・バック』よろしく彼お得意の(視覚的にちょいキツめな)痛快アクション。
舞台であるエル・プエブリートは実在の監獄をモデルにしており、
そこでの暮らしの様子を見ているだけでも楽しい。

映画:『GUN』

~ストーリー~
黒人ギャングのリーダーであるリッチはデトロイトの銃取引を牛耳らんと、
次々と対立する組織を潰していた。
とあるクラブを襲撃した際一般人が巻き添えになった事から、
警察は彼の組織を壊滅させようと監視の目を強め始めた。
ある日、彼の前にエンジェルという白人の男が現れる。
リッチはかつてエンジェルに命を救われた事があり、
仕事が欲しいと言うエンジェルを組織に引き込む。
彼と組んだ事で順調に仕事をこなしていくリッチだったが、
やがて彼の中にある疑念が浮かび始める…。

50cent、ヴァル・キルマー主演のアクション作品。
ストーリーの根幹がありふれた題材だけに観客を楽しませるためには何か仕掛けが必要だと思うのだが、
何か1本筋が通っていない感じがするし、
どのキャラクターもエピソードも掘り下げが浅い。
しかし、この作品の何よりの不幸は、
サスペンス的にストーリーを構成しようとしている(それ自体が成功していないのだけれど)にも関わらず、
公式にリリースされているあらゆるストーリー解説でネタバレされてしまっている事。
初めからオチは分かっているのに、
ストーリー上何の驚きも工夫もないのでじれったくて仕方ない。
まぁ、それがなくても退屈な映画には違いないんだけど…。
そのおかげで、すっかり肥えてオッサンになってしまったヴァル・キルマーの俳優としての凋落ぶりが本作最大の見所となってしまっている。
『ドアーズ』とか『セイント』とか『あなたが見えなくても』とか90年代の作品は結構佳作揃いだったのになぁ…。

2013年6月7日金曜日

映画:『dot the i』

〜ストーリー〜
スペイン出身のカルメンはイギリスでダンサーの仕事で生計を立てていたが、
勤めるパブで知り合った資産家のバーナビーと婚約が決まった。
独身最後の夜を楽しむため「ヘン・ナイト・パーティー」に参加した彼女は、
そこで知り合った青年キットに惹かれてしまう。
複雑な三角関係が始まったその頃から、
カルメンは彼女を監視する何者かの不気味な視線に恐怖を感じる。
そして、事態は予想だにしない展開を見せ始める。

2003年公開のイギリス・スペイン合作の作品で、
日本ではミニシアターで公開された作品。
『モーターサイクルズ・ダイアリー』で若きチェ・ゲバラを演じ評価を得たガエル・ガルシア・ベルナルがキットを好演している。
ちなみに、『ダークナイト・ライジング』『インセプション』『ブラックアンドホワイト』など近年活躍目覚しいトム・ハーディーがちょい役で出演している。
この映画、90%が恋愛映画なのにラスト10%で一気にどんでん返し系サスペンスに様変わりするという、
乾くるみの『イニシエーション・ラブ』のような構成をした作品。
幅広い層にウケるはずだし事ある毎にオススメしているのだが、
そもそもDVDなどがあまり一般に流通していない事もあって、
誰も良いとも悪いとも感想をくれない個人的には寂しい思いをしている作品。
機会があればぜひご鑑賞下さい。

映画:『ハードキャンディ』


〜ストーリー〜
出会い系サイトで少女と知り合う事が趣味のひとりのカメラマン。
この日も、サイトで知り合った14歳の少女を家まで連れ込む事に成功したが、
酒を飲んでいる途中で意識を失ってしまう。
目が覚めると彼は椅子にくくりつけられており、
少女はナイフを手に彼の男性器を切り取ろうと迫ってきた。
男は得意の口八丁で何とか窮地を逃れようとするが…。

『インセプション』で印象的な演技を見せたエレン・ペイジが、
外見にそぐわぬ恐ろしさを秘めた少女を演じたスリラー作品。
それなりに緊迫感のある映画であるはずなのだが、
そもそもどう考えても男がアホなので、
加害者である少女の方にシンパシーを感じてしまうし、
男があの手この手で窮地を逃れようとするドタバタぶりは(良い意味で)むしろ滑稽にすら思える。
案外、カップルで鑑賞して、
終わった後に彼女が「あんたも浮気とかしたら同じ目に遭わせるで!」とか脅したりして、
ふたりの愛を深めるのに良いかも知れない。
ちなみに製作陣は、日本の出会い系サイトとそれを利用した親父狩りに着想を得たそうで、
日本人としては非常に不名誉…。

2013年6月6日木曜日

映画:『貞子3D』

オンデマンド配信にて鑑賞。

〜ストーリー〜
茜が教師を務める高校では、観た者を死に至らしめる動画の噂が流れていた。
ある日、偶然にも生徒がその動画を観ているところに出くわした茜は、
パソコンの画面から白装束の髪の長い女が現れるのを目撃する。
茜は恋人の孝則と共に動画について調査を始める。

以下、おもいっきりネタバレ。
この映画、
初めからこのキャストでホラー映画を撮る事と、
呪いの動画をテーマにした初期段階の脚本だけが決まってて、
でもそれだけだと弱いから無理矢理貞子を絡めて、
貞子→テレビから「飛び出る」→だったら3Dじゃん!
というノリと商業的な思惑で出来上がった作品としか思えない。
原作どころか過去の映像化作品に対する思い入れや敬意といったものを全く感じられない。
心の底から退屈な映画だった。

しかし、もしかしたらこの映画を楽しく鑑賞できるかも知れないポイントをいくつかご紹介しましょう。

□呪いの動画はニコニコ動画でストリーミングされている動画。
→制作委員会にもニコニコ動画が名を連ねている。
→超商業的な香り!!!

□石原さとみ扮する茜は危機が迫り悲鳴をあげると超音波を発し周囲を破壊する能力の持ち主。
→つまり、キース・レッドのグリフォンを引き継いだモデュレイテッドARMSだった。
→パソコンの画面どころか貞子すら粉砕するのに人間には影響がない不思議。

□貞子は画面から飛び出るだけでなく髪の毛すら自由に操る。
→貞子がラブ・デラックスのスタンドを身につけました。
→さらに終盤では貞子ACT2となり、引きずり込んだ人間を画面の中の異次元に閉じ込めるという、ココ・ジャンボさながらのスタンドまで身につける。続編が作られたらD4Cでも使えるようになるんじゃないか?原作は実際…だしなぁ。

□終盤では貞子が怪物になって登場!
→なぜか『エクソシスト』のように逆さ四つん這いで蜘蛛のような動き。
→スティーブン・キング原作の『IT』も、
ピエロの正体が実は蜘蛛の怪物だったという最後にして最大の興ざめポイントがあるが、
『IT』がそれまでは優れたホラーであるのに対し、
本作はハナから退屈だから余計にタチが悪い。
→蜘蛛状態の貞子をACT3とするなら、最終盤ではACT3が大量発生!
→しかし、ACT3すら超音波で粉砕する茜のARMSの力!



<訂正>
一応この作品、
鈴木光司氏の『エス』が原作だったんですね。
それにしてもストーリーがまったく違うので、
やっぱり上記の通りやっつけで産まれた作品という気はしてならない。
一応訂正しておきます。