~ストーリー~
『ショグゴス』
突如南極に現れた謎の不定形生物群。
大統領と科学者はロボットを使いそれを排除しようとするが…。
『首なし』
とある令嬢と頭の半分を失いながら生きた元使用人である夫。
とある疑念を抱いた息子は両親の馴れ初めを聞く。
『兆』
教師に殴られた女生徒・直美が学校を抜け出しとあるマンションから飛び降り、自殺した。
事件に疑惑を持ったフリーライター・なえ子は取材を開始する。
その頃、直美の同級生である欒花の前に直美の幻影が現れ、
人間を超越した「兆」という存在への昇華へいざなおうとしていた。
『朱雀の池』
戦時下のアメリカ。
軍から日本の文化財リストを作成するように言われたウォーナー博士は、
何故か自分が日本の京都に住む蘭蔵という男であるという夢を見る。
『密やかな趣味』
性的欲求を満たすためのアンドロイドを購入した「わたし」は、
届いたアンドロイドに様々な要求を押し付ける。
だが、それは徐々にエスカレートしていき…。
『試作品三号』
強大な力を持った妖怪達を兵器とするための研究施設が破壊された。
妖怪の中でも最強の力を持つという妖怪・試作品三号は、調査のためにやって来た鎧の男と対峙する。
『百舌鳥魔先生のアトリエ』
妻が習い事として始めた「芸術」は、
生物の身体を極限まで切り刻んだまま生体機能を維持させるという悪魔の所業だった。
ある日、失踪した妻を追って「わたし」はその「芸術」の講師である百舌鳥魔という男のアトリエに向かう。
奇抜な設定・グロ描写・ブラックユーモアと屁理屈を武器に、
主にホラー・SF・サスペンスの分野で活躍する作家・小林泰三の、
過去の作品を収録した短編集。
「クトゥルフ神話」をベースにしながらそれを逆手に取ってまさかのオチに持っていくSF作品『ショグゴス』、
読んでいるだけでこちらの身体か痛くなるかのような錯覚に陥るほどグロ描写満載の『密やかな趣味』『百舌鳥魔先生のアトリエ』、
現実と虚構を織り交ぜ読者を混乱させる『首なし』『朱雀の池』『兆』、
最強の妖怪とそれをも上回る力を持った鎧の男との戦いを描いた『試作品三号』など、
7作品とも著者のテイストがよく表れている。
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