セラピストである女は患者であった男と結婚し、
パリから田舎町ラボリに移住する。
男は地元の大地主ゴラーズ家の跡継ぎであったが、
彼の住む屋敷の地下には一見のどかに見える町でかつて繰り広げられた凄惨な歴史が封印されていた。
そして、その地下の秘密を解き明かすことこそ女が男と結婚した真の理由であった。
深木章子の3作目。
私立探偵・榊原を主人公とした前2作から打って変わり、
1960年代のフランスの田舎町を舞台としたサスペンスとなっている。
男と女、それぞれの一人称語りで場面が切り替わり、
その中で感じられる違和感が終盤への伏線になっているという叙述トリックの体裁が取られているのも前2作と異なるポイント。
相変わらず物語の構成が見事で、
読後にもう一度読み返したくなること請け合い。
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