2016年9月12日月曜日

小説:小林泰三『幸せスイッチ』

〜ストーリー〜

『怨霊』
メリーと名乗るストーカーに狙われた女は警察に通報するが、
そこにΣという探偵が現れ事態は思わぬ方向に進んでいく。

『勝ち組人生』
亡くなった叔母の財産を相続した女は、
幸福の尺度であるお金を増やし幸せを貯蓄することに喜びを覚えるが…。

『どっちが大事』
妻からの妻とスマホのどちらが大事かという質問に妻と答えた夫はスマホを破壊されてしまう。
それから妻の二択と要求はエスカレートしていき…。

『診断』
救急救命士の男がとある母子家庭の家を訪れた。
母親の屁理屈のせいで病院に連れて行くことが出来ぬままこどもの体調は見る見る悪化し…。

『幸せスイッチ』
両親を飛行機事故で亡くし財産を引き継いだ女は、とある男の出会いから人生の坂道を転がり落ちて行くことになる。
そんな時に幸せスイッチとそれを販売するNPOと出会い彼女の人生が変わっていくのだった。

『哲学的ゾンビもしくはある青年の物語』
突然自分を無視して同じ話を繰り返し始めた恋人。
友人が同じ症状に陥ったのを見た「僕」は、
3人で集まり再現実験を試みるのだが…。

小林泰三の短編集。
登場人物の屁理屈の応酬が得意技の著者の作品にあって、
本作は読んでいて腹立たしさを覚えるほどの「屁理屈祭」が全ストーリーにおいて展開される。
いずれも意外な展開に広がっていきあっと驚くオチがあるので読み応えはあるが読後にドッと疲れる。
一見短編同士に何ら関係性がないように見えるが、
最後の作品を除きなぜか竹内春子という人物が登場し、
最後の作品で一応のクロスを見せる。
また、初めの作品のΣは著者の他の短編にも登場する探偵で、
時空を超えた殺人事件など不思議な事件ばかり担当する変わった探偵。

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