母と息子のふたりで経営する古びたラブホテルにひとりの女性客が来た。
母と女性客はお互いに不信感を抱き、
母は息子に女性客を追い出せと諭すが…。
表題作『101号室の女』を含む9編の短編集。
ミステリー作家・折原一が、
1990年代初頭に発表した短編ミステリー9編を収めた短編集。
多くが夫婦や親子を取り巻く事件をテーマとしており、
いずれの作品も著者お得意の叙述トリックとどんでん返しを堪能することができる。
表題作『101号室の女』は、
映画『サイコ』を題材としているが、
映画の内容を知っている人ほど意外な展開を楽しむことができるだろう。
短編なのでストーリーがスッキリまとまっており、
短い時間でミステリーの醍醐味を堪能できる点も良い。
何しろ著者の長編ときたら、
各章ごとにこちらを撹乱するかのようなクライマックスを用意し、
それらを終章できっちりと一纏めにしてしまうという、
よくもこんなオチを付けられるものだと感心してしまう一方で、
ストーリーの整理にものすごく頭を使う作品が多い。
その点では著者の作品の入門編として、
本作にハマれば長編にトライしてみるのはアリだと思う。
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