2015年6月15日月曜日

小説:長岡弘樹『線の波紋』

〜ストーリー〜
娘を誘拐された女ー。
彼女は「娘が遺体で見つかった」というイタズラ電話に悩まされていた。
会社の不正経理を隠そうと画策する男ー。
その事実に気付いていた経理部の同僚がある日遺体となって見つかる。
だが、その顔は微笑みを堪えていたという。
幼女誘拐と「微笑殺人」、2つの事件を追う女刑事ー。
2つの事件は捜査線上で一つに収束していく。

『傍聞き』が話題となった著者の長編サスペンス。
前述の3人をそれぞれ主人公としたパート、事件の再現パート、エピローグの5部構成となっており、
事件の全体像や真相そのものは再現パートとエピローグで明らかになるが、
本書が特徴的なのは事件に関係するサイドストーリーに各章でオチがつくというところ。
『傍聞き』でもそうだったが、
犯罪を題材に使いながらも、
重くなく、血生臭くなく、救いようのあるオチをつけるというのが著者の作品の特徴のようだ。
本作では、特に、エピローグにて最後の謎が明かされた時、
心にすっと爽やかな風が吹くような感覚を味わう事ができる。
もちろん、どんでん返しがあり事件の真相もなかなかのものなので、
ミステリーファンでもそうでない人でにもオススメできる。

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