〜ストーリー〜
友人が出会い系サイトで次々と女性と出会い遊んでいる事を聞いた主人公は、
妻子を持つ身でありながら自らも出会い系サイトに手を出し始め、
やがてリカという女とやり取りをするようになる。
初めは会話を楽しんでいた主人公だがリカの異様性に気付き距離を置き始めた。
しかし、リカの想いは留まる事なく膨れ上がり、
やがて主人公のみならずその周囲の人間にまで危害を及ぼし始める。
『交渉人』シリーズや『パパとムスメ』シリーズ、『Fake』などで知られる五十嵐貴久が、
ホラーサスペンス大賞を受賞し華々しいデビューを飾った作品。
知る人ぞ知るホラー漫画『座敷女』にハマった人なら間違いなくハマる。
顔立ちは整っているはずなのに、
ゾンビを彷彿とさせるかのような黄土色の肌と底知れぬ闇を讃える異様な目付き。
口からはマスクをしても防げないほど異様な臭いが放たれる。
普通の成人男性では歯が立たない身体能力を持つ一方で、
元看護師で医学の知識を有するほど優れた頭脳を持つ。
こんな女に付き纏われたら人生一環の終わりに決まっている。
一見荒唐無稽な設定でありながら、
主人公の恐怖を追体験しているかのように感じられるのは、
筆者の緻密な文章の積み重ねがあってこそ。
これは完全版という事で、大幅な加筆修正が加えられているそうなのだが、
完全版で追加されたエピローグには度肝を抜かれる。
これでもかと見せつけられたリカという女の闇の深さを、
もはや引き返す事のできない暗黒に引き摺り下ろすかのような強烈なエピローグ。
普通小説でも映画でもゲームでもリメイクの追加要素って「必要だった?」と思わされる事の方が多いが、
本作に関してはまさに完全版という言葉を冠するにふさわしいものになっている。
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