ヨハネスブルクに1機の巨大なUFOが出現した。
その内部には飢餓で苦しむエイリアンがおり、
地球は彼らを難民として受け入れる事を決め、
第9地区と呼ばれる地区に隔離する事となった。
月日が流れ、第9地区は一大スラムと化し、また、犯罪の温床ともなっていた。
これを危険視した地球はエイリアン達を更に僻地へ移送しようと、
特殊機関MNUによる強制退去に乗り出す。
その責任者に命ぜられたヴィカスはある任務の最中、
エイリアンが所持していた液体を浴びた事から、
身体が徐々にエイリアン達との同質化していき、
かつての仲間から追われる身となる。
身体がエイリアンと同質化していくという設定が一見キワモノに思われるが、
マイノリティを監視する立場の人間が一転、マイノリティを助けるための戦いに身を投じるというサイバーパンクの基本プロットのひとつを現代に近い時代設定で表現したSF作品。
アメリカやヨーロッパでは既に摩擦を引き起こしている移民問題を彷彿とさせる場面が多数あり、
"見かけ"よりは色々な事を考えさせられる作品。
主人公の心境の変化も丁寧に描かれており、
決してハッピーエンドとは言えないラストシーンには、
何とも言えない哀愁が漂う、余韻の深い作品。
0 件のコメント:
コメントを投稿